【連載】そして音楽は何処へ行く(4) 〜初めてのトリオ〜
新たなパートナーの候補であるボーカルのK子。イマイチ何処へ向かいたいのか分からない彼女。初めて「Piano+Vo」で合わせた後、私の相棒を入れて「トリオ」でやる事になった。トリオといっても三人という事。構成は
相棒:Piano+シンセ
私 :ドラム
K子 :ボーカル
という変則な構成。まー、音のバランスがとれれば大丈夫。前回、相棒はインフルエンザになり、スタジオ入りはドタキャン中止。その後、無事開催となりました。早速スタジオ入り。
■スタジオ入り
私と相棒は今年合うのは初めて。おしゃべりしながら地下鉄に一緒に乗り、二人とも反対方向に進む。あわてて、乗り直して、どうにかスタジオへは5分遅れ位で到着。K子は既にスタジオに入っていた。
K子はこの日はどうしたことか、ベレー帽をかぶり、ピンクのシースルーというような素材のロング・スカートを履き、お洒落女子の風貌で登場。
私「どうしたんだ?」
っと思ったが、口には出さなかったが、二十代女子は色々思うところがあるんだろうな・・・と思いつつ、ドラムのセッティング。
彼女は私がドラムをやることには、さして気にもならない様子。自分のマイク音量、声の出し方の確認をやってる。相棒も持ち込みのシンセをセッティング。彼は今回、ベース・パートを32鍵のモノフォニック・シンセでやる事を考えているようで、そそくさとセッティングしている。
私「そんじゃ、まず「若者のすべて」やってみようか」
ドラムのカウントでスタート。
いきなり、相棒が謎の単調リフを4つ打ちでPiano演奏。低音もなし。
しかも、そのまま繰り返し・・・
K子「・・・・(きょろきょろ)」
私 「なんじゃ、そりゃ、どこから入るか分からん。音もとれんよ」
K子「キーがとれない」
相棒「え? わからなかった」
相棒はいつも練習では自分の音を中心にリフで固めてくる。その演奏が歌の伴奏として合うかどうかを意識してない。自分の音の世界で組み立ててくる。
私 「最初はコード感わかるように、白玉入れとくれ。じゃないと、音がとれなくて、歌えないよ。歌の入りも分からんし」
相棒「こんな、感じ?」
って具合でリズムと白玉を入れさせ、ようやく曲っぽく始められる。
一曲目を何度かあわせ、一応、形として最後まで演奏。2回位合わせた後、
K子「Aメロのコードが違う。Onキーのコード。Cかな」
大抵、いつも見てるWebサイトのコードで演奏を組み立てるが、サイトの記載が誤ってる事は多々ある。相棒はオロオロと音を出して、
相棒「これかな・・・こんな感じ」
K子 「・・・・」
私 「じゃ、それでやってみよう」
もう一回合わせるが、相棒がちょっと、困り気味に演奏。
二曲目は「ひとつだけ/矢野顕子」を合わせてみる。Pianoのイントロからスタート。今一つ、リズムがおかしなメロディ。コードも変な感じ。私は
「Jazz風なアレンジにしたのかな? それにしてはイマイチなアレンジで合ってないのでは?」
イマイチなので指摘。これでは始められない。
私「普通にやろうよ、原曲通りでいいじゃん、ここは」
ドラムのハイハットとハミングで、メロディーのリズムを相方に伝える。伝わらない。K子がPianoに行って、弾いて教えようとする。相方もそれにならって、弾いて、形になってきた。
私「それそれ、それでいいよ」
どうやら、原曲のイントロを把握してない模様。原曲を理解出来ていない?その後、この曲も2回位あわせて、それなりの形になった。そんな感じで1時間の音合わせは終わった。
■スタジオ終わり、ミーティング
音合わせを終え、スタジオ横のテーブルでミーティング。
私 「どうだった? まあバンドっぽく出来たんじゃない?」
K子「・・・・、まあ、それなりに」
三人で雑談し、次回はK子が来やすい場所のスタジオにしようと話した。5月のライブに出ないか?と、K子に訪ねる。
K子 「ライブ出るなら、もっと、ちゃんと考えてやりたい。」
「今日は原曲通りだし、もっとライブ用に考えた曲をやりたい」
私 「・・・・」
相棒「・・・・」
キーもK子用に変えたコードだし、この少ない楽器でそれなりにアレンジして、今日初めて合わせた状態。まあ、確かに演奏内容は原曲アレンジではある。しかし・・「原曲と異なるアレンジ」を彼女がどうイメージしての発言なのかは、私と相棒はその瞬間は理解できなかった。
私 「じゃあさ、何の曲がいいか、考えてLINEしてよ」
ということで、ちょっとK子の考えを聞いて考えようと思った。
駅で分かれ、私と相棒は再び一緒の地下鉄で家路へ・・。
私 「どうだった? 耳が良いし、曲を完全に理解して、
自分の歌にしてるだろう?。レベル高いだろ?」
相棒「よく見つけましたね。驚いた。凄く耳がいい」
私 「たぶん、本気で一人でステージやってたんだよ」
「三年 音楽辞めてて、人と組んでやりたくなったんだよ」
「彼女は譜面なんて、見てなくて、感性でやってるよ」
「俺も感性派だけど、大丈夫? 感性派に囲まれて」
相棒「いやー、その方が燃えましたよ。やべーって感じ」
音楽はテクニックだけじゃない。曲の理解力も必要。
K子は男性、女性ボーカル関係なく、ジャンル関係なく色んな音楽を聞き込んでいる。そのため、曲の理解力も高く、細かなメロディの動きも掴んでいる。
相棒は「譜面派ピアニスト」上がりなので、耳が弱く、音楽の幅が狭いので曲をきちんと理解出来ていない。Pianoのフレーズを優先しすぎて、原曲の理解が不足してるので、曲にあった演奏にならない。音楽を聴く幅が狭いので理解力が足りない。
これは年齢とかの問題ではなく、音楽への「熱量」の違いなのだ。K子は本気で音楽をやってるので本人的には、それが普通だと思っている。
相棒はPiano演奏は上手いのだが、こういったミュージシャンとしての資質部分は音楽に向かう姿勢の違いから、彼女との差を思い知る事となった。
今までは「私」が変わってるんだと理解したいた彼。K子の登場で「音楽家」の二人と自分との違いを思い知る事になったに違いない。自分は何だったのか? 演奏できるだけじゃ駄目なのか?
ちょっと「相棒」が心配だ。私とK子に挟まれて、やっていけるだろうか?私は一緒にやりたい。彼が辛くなければ。音楽家の二人に囲まれて、自分の持てるレベルを越える場面に総合して、後込みしなければいいのだが・・心配だ。彼はそこまで真剣に音楽をやりたいと思っていないと思う。
いままでは「Pianoが上手い俺様」で友達の間では通っていたが、「音楽家」に引き上げられて「自分はそこまではやろうとは思っていない」事に気が付いてしまった彼だから、心配だ。
■選曲
スタジオが終わった、次の日にK子からLINEが入った。
K子 「お客がわかるような曲が良いと思って、
ラルクの「虹」「HONEY」あたりか、
星野源あたりがいいかと・・」
私 「ちょっと、聴いて見るよ」
相棒「・・・・・」
男性曲。バリバリのロック。なぜこの選曲? Pianoとドラムだよ。どうやって?・・・と相棒は思ってるだろう。私は星野源はだいたいわかる。ラルクはちゃんと聴いた事がなかったので、Youtubeで指定の曲を聴いて見た。
バリバリのロックだが、歌は上手い。曲も良い。ドラムが激し過ぎる。本当にこれやるのか?って感じ。でもPiano+ドラムでアレンジ出来たら、面白いじゃんって思った。
次の日にLINEに返信した
私 「ラルクはHONEYがいいね。星野源は恋でいいんじゃね?」
さて・・次回はこの曲を合わせられるのか?
どうなる?
そんな訳で今回のテーマ曲はこれ