【連載】そして音楽は何処へ行く(10) 〜バンド解散直前〜
前回までの内容はこちら
今回はVo+Piano+Drumでやってる「エセプロ・トリオ バンド」の話です。解散の危機にさらされている。事の発端は些細な事だ。
■バンド名決め
5月のLIVEが決まった。参加登録するにあたり「バンド名」が必要だ。原案として、いつものノリで私がエイヤでだした。
私「バンド名「レインボーワールド」でいいよね?」
これは先日、三人で入ったカラオケBOX兼スタジオ部屋というヘンテコな部屋があるカラオケ屋の名前。覚えやすいし、自分たちの中でもなんだが、印象に残ったスタジオで、また使いたいと思える場所だった。VoのK子はここで良く歌の練習をしているらしい。それもあって、適当とは言え、自分達に関連するキーワードを選んだ。バンド名としての響きも良いし。
しかし・・・K子は
K子「もっと別の名前が良い。「たからぶね」「たまてばこ」」
と言ってきた。このバンド名を聞いた時、
(そんな印象に残らない、ありふれた言葉は駄目だろ)
その後、一時間くらいバンド名がどうあるべきかを議論する事になった。バンド名の付け方、考え方があるようだ。私は意味なんてない。そのバンド名を人が「見たり」「聞いたり」した時に記憶に残ってくれれば良いと考えている。
色々、話していると、どうやらK 子のMyブームとして「ひらがな」を使うのがあるらしい。それを採用したいようだ。おそらくソロでの活動も「ひらがな」名でやってるので、自分が参加するバンドはその派生で行きたいのだろう。
そうK子は3年ほど音楽活動は停止していいて、今年から活動再開をしているようだ。弾き語りで様々なステージに参加してる。前回のスタジオで持ち歌を披露され、後日、音源が送られてきた。残念ながら誰が聴いても、1分と聴いてられない、素人の曲、歌詞だった。
■K子オリジナル曲をどうするか?
その事は本人には伝えていない。私は過去にもいろんな人とコラボして曲を作ってきたので、酷い原曲を元に私なりの解釈をして、曲をアレンジし、それなりの作品に仕上げ直すという作業を何度も経験している。今回も曲は酷かったが、なんとか出来ると考えた。
原曲をもらってから2week後に2パターン程、別アレンジのサンプル音源を作った。K子に聴かせると、揉めそうなので聴かせてない。まずPianoの相棒に聴かせた。
相棒「原曲よりはちゃんと音楽として、聴けるし、歌詞も入ってくる。サビもハッキリと伝わるようになった」
と言ってくれた。メロディーもコードもリズムも原曲から変わったものになっている。これを受け入れてくれるのであればバンドとして、やって行っても良いと私は思ってる。いかんせん「バンド名問題」以降にK子の思い込みの世界の押し付けに辟易している。
私はバンドは「それぞれのメンバーがその個性を発揮して、楽しく、熱く出来るが良い」と考えている。バンドでオリジナルをやるのであれば、自分の原曲にこだわり過ぎず「このバンドの曲」として、シナジーを活かし、新しい曲を生み出していくのがバンドだと思ってる。
音楽家は曲、演奏に対して柔軟な考えを持つべきだと思う。だからこそ、私と相棒は「変な構成」かも知れないが、それぞれが最も得意な楽器「Piano+Drum」という通常ではない形態で活動をしている。自分達が一番、特技を発揮出来る楽器だし、それをそれぞれが考え、演奏してるときが一番熱いし、素晴らしい演奏が出来てるのだ。
だからこそ、変な自分の考えに固執しないで、原曲を壊されたかもしれないが、もっと「曲を良くしよう」と三人で協力して作った時に「バンドのオリジナル曲」が生まれると私は考えている。
それもあって・・・原曲から変わってしまったこの音源をまだK子には伝えられていない。どう思うだろうか? 自分の楽曲を捨てて、変貌したこの曲を受け入れてくれるだろうか?
私的にはこのオリジナル曲のコラボ作成を通じて、曲のありかた、歌詞の付け方を他人の意見をぶつけながら、やることでK子の今後の作品作りにも、良い影響になると考えている。
現在はK子的には「自分のオリジナル曲を出来そうなバンド」として張り切ってる印象を受けてるだけに・・・こにダメージを受け止められるか?
しかし、このダメージを受け取めてもらえないのであるなら、「バンドは解散」かなと考える。残念ながらK子の酷い曲のバックバンドにはなりたくなのでね・・。
さて、彼女に聴かせようか? どうしようか?
バンドの生命線に触れる出来事の引き金を私が引くのか?