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差別につながる報道(男女共同参画から目をそらさせる報道)

■世間に転がる意味不明

「今時の男はデートをしたこともない」
という気をひくキャッチで報道番組を見た。およそ報道とは言えず、三流のスポーツ新聞のようだ。何の疑問も持たずニュースを読み上げるニュースキャスターに幻滅だ。

ニュースにしろ新聞にしろ、表題が適切でないと意味不明になる。
さて、上記の元ネタは下記の資料だ。

(男女共同参加局) https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/index.html

○令和4年盤(令和4年6月) 
人生100年時代における結婚と家族~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~

このレポートは300ページ及ぶもので、概ね以下のような構成になっている。

1 令和3年度男女共同参画社会の形成の状況
第1分野 政策・方針決定過程への女性の参画拡大
第2分野 雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和
第3分野 地域における男女共同参画の推進
第4分野 科学技術・学術における男女共同参画の推進
第5分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶
第6分野  男女共同参画の視点に立った貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備
第7分野 生涯を通じた健康支援
第8分野 防災・復興、環境問題における男女共同参画の推進
第9分野 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備
第10分野 教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、理解の促進
第11分野 男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献

2 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第1部 令和3年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第1分野 政策・方針決定過程への女性の参画拡大
第2分野 雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和
第3分野 地域における男女共同参画の推進
第4分野 科学技術・学術における男女共同参画の推進
第5分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶
第6分野  男女共同参画の視点に立った貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備
第7分野 生涯を通じた健康支援
第8分野 防災・復興、環境問題における男女共同参画の推進
第9分野 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備
第10分野 教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、理解の促進
第11分野 男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献

第2部 令和4年度に講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
 ・・・ 以下略

この中で、「今時の男はデートをしたこともない」の元ネタはレポートのP49の下記の記載に夜のだろう。

現在、我が国では、恋愛結婚が約9割である(特-36図)。「恋人として交際」した人数を聞いたところ、「恋人として交際」した人がいないと回答した20~30代の独身の女性は24.1%、独身の男性は37.6%となっている。特に、交際経験がない20代の男性が4割近くとなっている。
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/pdf/r04_tokusyu.pdfhttps://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/pdf/r04_tokusyu.pdf より

このレポートは「人生100年時代における結婚と家族 特集 ~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~」として、」「第1節 第1節 家族の姿の変化・人生の多様化」に続く、「第2節 第2節 結婚と家族を取り巻く状況」のとして、孤独死、介護、貧困などを扱い、その背景としての家族構成を取り扱い、配偶者の有無、結婚を扱っているだけである。

むしろ結婚の動機付けが希薄になり、下記の様な記載に目を向けるべきである。

独身女性が、積極的に結婚したいと思わない理由について、「仕事・家事・育児・介護を背負うことになるから」を挙げる背景には、社会や周囲、また、自分自身のアンコンシャス・バイアスの他、仕事・家事・育児・介護のバランスを取ることに苦労している既婚女性の姿を見て判断している可能性もある。(P55)

■男女間格差を覆い隠す悪意

上記のレポートは、男女共同参画社会基本法に基づくもので、ちなみに令和3年6月版のテーマは「コロナ下で顕在化した男女共同参画の課題と未来」になっている。
こうしたレポートを丁寧に読むことをせずに、面白そうな所をピックアップするというのは、大衆の関心をひくと言うことでは当然ことなのだが、では、なぜそのようなデータを出しているのかを配慮しなければ悪意を感じる。

問題は、相変わらず家事や育児、介護などを女性に押しつける社会に課題があると警告しているにもかかわらず、目をそらそうとしか思えないマスコミの姿勢に違和感を感じる。

■生き残り戦略に女性問題を組み込めない企業

レポートにもあるように、女性参画がいまだ進んでいないのは社会問題になりつつある。
これに対する企業への圧力は増加してゆくだろう。

すでに大企業に対しては女性の給与を明らかにすることが求められている。
これを面倒だなとおざなりにすることは望ましくない。

決められたことを言われたとおりにする事業推進だけに頼っていれば成長もしなければ、最悪、市場から見捨てられかねないというのは肌感覚で分かっているはずだ。

世界の半分は女性である。彼女たちはどんな世界観を持っているのか、何を不満に思っているのかを知る必要がある。彼女たちとの対話を進めなければならない。それも、様々な立場の女性の視点が必要だ。それを男性ができるというおごりを捨てなければフロンティアを見つけることはできない。

全ての部署、全ての職種で男女比を同じにすべきだ。
能力の違いを口にする経営者は能力開発を放棄している。

世界の半分は女性であることを真剣に捉えてほしい。

<閑話休題>

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