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中小企業のクラスター化(暴言という前に)

■人材の固定化

守秘義務がからむので少し脚色する。
 昨年、人材マネジメントについて企業にインタビューしたときに、ご多分に漏れず「新卒が配属されないので、皆高齢化する」という悩みを聞いた。それほど小さい会社ではないのでローテーションでまかなえないのかと聞くと、製品毎の部署に分かれているので簡単に人の交流ができないという。
 専門性が高いと人材が固定化してしまう。

とはいえ、汎用的な部分もあるので業界では人材はそれなりにいるそうだが、そこから引き抜くこともそう簡単ではないらしい。

中小企業になるともう少し深刻になる。
 想像しやすいだろうが、中小企業には「職人」よろしく個人に依存した生産体制がとられている。一人が何役も担い、代替する人材などはほとんどいない。人材マネジメントどころではない。

■中小企業を淘汰するとはいっていない

かねてから中小企業の生産性向上を唱えているデービッド・アトキンソン氏も中小企業の再編と統合が必要だと主張している。
 そうした中で、経済同友会の櫻田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス グループCEO)が「日本の平均賃金の低さを解消するためには、中小企業の数を減らす必要がある」と報道された。至極まっとうな意見なのだが、誤解を招きかねないなと思い、騒ぎになるかなと思ったのだが、思いのほか取り上げるメディアがなかった。

その理由は下記を見ると分かる。

○「中小企業淘汰論」はなぜ“炎上”しにくくなったのか 日本に残された時間
2022年07月19日

なぜ櫻田代表幹事の「中小企業淘汰論」は炎上したかったのか。この3年弱で世の中のムードの何が変わったのか。

まず大きいのは、アトキンソン氏ら「中小企業再編」の必要性を唱える人々の主張が徐々に世の中に受け入れられるようになってきたことだ。アトキンソン氏が中小企業再編のためには必要不可欠だという、「継続的な最低賃金引き上げ」もここにきてようやく理解を示す声が増えてきた。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2207/19/news060.html

さて、ここで重要なのは、彼らは「中小企業」を潰せといっているのでもないし、強い中小企業だけ残せといっているのでもないと理解している。中小企業という形態を維持すれば生産性向上は見込めないと指摘しているのだと思う。

■クラスター

一つの製品・サービスを最終消費者に届けようとすれば、全体としてのサプライチェーンを整備し、バリューチェーンを確立しなければならない。
 企画作り、市場調査、営業、技術開発、設計、製造、販売、配送などの直接的な活動の他、人事や総務などの間接業務などがある。こうした業務を中小企業の単独で行なうことは無駄になるし、営業や販売を他社に依存することは、利益の獲得に不公平が生じやすい。これは経営の脆弱性にもつながる。

ある製品の上流から下流と言う枠組みでも良い、地域でのスーパーマーケットのような多品種生産でも良い。複数の中小企業がホールディングスのように束ねられた、クラスターのような事業形態を考えるべきである。

当然、企業間の相互信頼は必要であるし経営ノウハウの高度化も必要になる。しかし、経営戦略を作ったり、間接業務を担う部署を統合することにより、中小企業が資金繰りや人材マネジメント、マーケティングの負担から逃れられるのであれば、生産性は向上する。

目安として、300人規模の企業体にすべきである。この人数になると、間y光年化にも耐えられるようになる。当然、中小企業の統廃合も起こりえる。

しかしそれは当然だ。大企業で会っても事業再編されるのだから。中小企業で甘えがないかも考えるべきである。

<閑話休題>

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