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戦略人事:口だけの社員重視の戦略(価値観を変えなければ先に進めない)
■サスティナビリティ
「ゴーイングコンサーン」は経営者の責任であり、一方でこれを疎かにしてる経営者もいないであろう。にもかかわらず、会社を傾けてしまう経営者も後を絶たない。東芝の問題も源流をたどれば「チャレンジ」と叫んだ、あの経営者に行き着くかもしれない。責任感だけではどうにもならない。言動にも注意が必要だ。
単純な話ではあるが、経営活動には資源が必要であり、ヒトモノカネを安定して供給できなければ経営も危うくなる。このうち、ヒトという生き物は環境的な生き物なので、能力の発揮も成長も心理的な要素で変わるのだから、経営者はこれに気を配る必要がある。
ではどんな配慮だろう。
■モチベーションの3要素
すでに十分議論が尽くされているはずだが、モチベーションの3要素は
・(彼にとって)ふさわしい仕事
・(能力発揮ができる)ふさわしい環境
・(全人格的な)ふさわし報酬
と言われている。
いずれも、彼の主観で評価されるべきものだ。
「社員意識調査」や「社員満足度調査」では、この「主観」を調査するべきであるが旨く使っていない当のが現状であろう。なぜなら、実体は彼らのを満足させるものではないという結果が見えるからだ。
■わくわく感のない会社
パーソル総合研究所から「グローバル就業実態・成長意識調査-はたらくWell-beingの国際比較」というレポートが公開された。
○グローバル就業実態・成長意識調査-はたらくWell-beingの国際比較
2023年4月12日
「幸せを感じている」就業者は、日本で49.1%と18ヵ国・地域中最下位。一方、「不幸せを感じている」日本の就業者は、18.4%(15位)と良好だった。日本は、はたらくことを通じて幸福感を感じている就業者は少ないが、不幸感を感じている就業者も少ない傾向が確認された。
なぜ日本の「はたらく幸せ実感」が低いのか、その要因を調査したところ大きく以下の点が明らかになった。
①40代以下や被雇用者の「はたらく幸せ実感」が低く「はたらく不幸せ実感」が高いため
②「権威主義・責任回避」の組織文化が強いため
③「はたらく幸せ実感」とは無関連の「賃金重視」の価値観が強いため
④就業者の寛容性が低いため
⑤業務外の学習・自己啓発の実施率が最も低く成長実感が低いため
⑥労働時間が男性に偏り、男性の「はたらく幸せ実感」が低いため
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/global-well-being.html
こうした記事の中で、とても気になった記述があった。
「職場の組織文化は、「はたらく幸せ実感」と強く関連していることが分かった。18ヵ国・地域全体を見ると、「はたらく幸せ実感」とプラスに関連する組織文化ほど強い傾向にある。しかし、日本の傾向を見ると「上層部の決定に従う」、「社内では波風を立てないことが重要」など、「はたらく幸せ実感」とマイナスに関連している「権威主義・責任回避」の組織文化の傾向が強い。」
つまり「自分の意に関係なく働かされている」要素が強いのではないかと懸念する。
■経営者が口だけでは何も変わらない
パーパス経営などと言う言葉がはやるように、何かしらの方向性を示さない経営は、その妥当性に齟齬を起こしかねないという認識は共有化されている。しかし、そうした理念的なことは経営者や一部の人間の押しつけになっている傾向がある。組織は原理的に高圧的なのだから。
したがって、経営者は、様々な価値観をする合わせることができる様にオープンな対話の場面を作らなければならない。しかしこれは容易ではない。なぜなら、社員は「従属」することになれているからだ。
子供の頃から「あれはしてはいけません」「これはしてはいけません」「大人の言うことは聞きなさい」「お友達とけんかをしてはいけません」と言われて育ってきた彼らが、自動的に「自立・自律」を身につけるはずはない。
経営者が口だけで「オープン」といっても「権威主義・責任回避」の組織文化は変わらない。真実を受け入れ変わることを厭わない経営者でなければ何も変わらない。
<閑話休題>
(データの詳細)
○https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/global-well-being.pdf