見出し画像

新聞社の衰退(好奇心は猫を殺す)

■新聞という情報源

知人から聞いた話なのだが、定年を機会に新聞をやめるという人がいるらしい。特に、経済紙は、その傾向が顕著らしい。
 分からないでもない。会社員として必要だというのであれば会社員でなくなると不要になるのは論理的には正しい。
 しかし、面白くもないものを無理して読んでいたのだろうか。
 私も、新聞を見なくなってから相当立つ。
 必要な情報は、インターネットにある各新聞社のサマリーで確認し、元ネタ(企業のプレスリリース、行政機関の資料、海外のニュースサイト、FT,BBCなど)を見るだけで十分である。いや正確ではない、ニュースソースの確認は結構時間がかかるので、新聞の査読にかける時間は無い。
 識者のコメントは、個別の専門誌のサイトを見る。
 単に事実を列記する、それもミスリードを誘うような並べ方をする新聞は参考程度にとどまる。

■若者の新聞離れ

老人の新聞離れは若者の新聞離れと同一なのだろうか?
 そうでは無いと思う。
 私の息子も新聞を取っていない。では世間に疎いかというとそんなことはない。少なくとも私より文化的な知識は豊富だ。技術情報も独自に集めている。何のことはない、新聞では情報源としては非力なのだ。
 老人は、新聞に変わる情報源を持っているのだろうか。

さて、こうした論は根拠をどこに求めるのか。
 新聞離れの記事は以下を見ると分かる。

○昨年も180万部減、全然止まらぬ「新聞」衰退の末路
「毎日」「産経」規模の部数が毎年消失している
2022/01/10

日本の新聞は高度経済成長期の1966年に3000万部台に乗り、その後は1990年代末の5000万部超まで拡大した。しかし、その後は下降を続け、部数減が止まる気配はまったくない。このまま進めば、本年中に一般紙は3000万部台を割り込むことが確実。高度経済成長以前の水準にまで落ち込むのも時間の問題になってきた。

https://toyokeizai.net/articles/-/500413

少子高齢化で読者数のキャパシティが減ったのは確かだが政府の統計では世帯数は減っていないことを示している。単純に、新聞(但し紙の新聞)が読まれなくなっているだけである。

■好奇心は猫を殺す

こうしたことの影響は新聞社の経営にも影響を与えるのだろうか。

○朝日新聞が「肩たたき」で200人削減へ/上限5千万円の手厚い退職勧奨一時金/全社員の6割超が対象
号外速報(7月07日 07:20) 2022年7月号

朝日新聞社は6月30日、9月から11月にかけて45歳以上の社員を対象に「200人以上」の希望退職者を募る方針を労働組合に通告した。昨年(応募者111人)に続く希望退職者の募集で、これにより現行中期経営計画に基づく「2023年度末3800人態勢」の実現を目指す。同社の21年度決算(単体)は創業以来の大赤字となった前年度から、2年ぶりの最終黒字に転じた。しかし、年間40万部ペースの部数減少が続く中、売上高は1881億円と、14年度(2886億円)から7年間で約1千億円も落ち込むなど縮小サイクルが止まらない。赤字を避けるには人件費を中心とする経費削減に頼らざるを得ないのが実情だ。

https://facta.co.jp/article/202207037.html

新聞社の撤退は、「ニュースの砂漠」と言われ、治安の悪化などを招くと言われている。しかし、それは新聞社の衰退のせいではない。住民の無関心によるものである。
 「好奇心は猫を殺す」とは、余計なことにクビを突っ込むとろくなことが起きないというメタファによる。しかし、好奇心のないところには真実に近づくすべがなくなる。
 新聞社が、使命感を振り回すのはかまわない。しかし、好奇心のないところには人の関心をかき立てるものは作れない。

単に人員を削減するという手段に出る新聞社には見切りを付けよう。
 ニュースは至る所から手に入る。そうしたニュースに真実を見いだすことをすれば、それが新たな報道メディアの方向性を作れるかもしれない。

<閑話休題>

いいなと思ったら応援しよう!