人事の問題を考える(組合結成は人事部の配慮事項になりうるか)
■アメリカでの組合の話題
最近、アマゾンをはじめとしたいくつかの団体においで組合の結成に関する記事を目にすることが増えた。
○米国で労組結成の動き相次ぐ 物価高、時給4000円要求
2022/5/24
【ニューヨーク共同】米国で賃上げを求めて労働組合の結成を目指す動きが相次いでいる。インターネット通販大手アマゾン・コムの物流倉庫、コーヒーチェーン大手スターバックスの店舗で従業員の過半数が結成に賛成し、アップルの販売店でも運動が始まった。記録的な物価上昇を背景に時給30ドル(約3800円)を求める声が多い。
「会社はもうかっているのだから時給を上げてほしい」。ニューヨーク州スタテン島のアマゾン倉庫で働くモニカさんは訴える。スタテン島では3月に組合結成を問う従業員投票が行われ、米国のアマゾンで初めて賛成多数で可決された
https://nordot.app/901709612576342016
労働者の意思を伝えるのにやはり労働組合が必須なのかもしれない。
アメリカと日本の労働組合の結成の仕方は異なるので、その点は注意が必要だ。
日本は、二人以上の従業員で結成できるが、アメリカは一定数以上の賛成がないと作れない。アメリカが業種毎の組合なのに対し日本は企業内組合が多いこともそれが理由かもしれない。
労働組合の組織率が下がっている。
ふたたび労働組合にスポットライトが当たるのだろうか。
■ユーバーのビジネスモデルは無権利者の保護に焦点を当てた
ウーバーのビジネスモデルは、飲食店と顧客、配達員を結ぶだけで、その間のサービスの質には何も責任を負わない。配達員は個人事業主であり、彼らに責任を押しつけることでコストを下げている。こうしたことは弱者を生み出しており、良いことだとは思わない。
そうした中で、これを解決しようとする動きも見られる。
○フリーランス結集へ任意団体 ウーバー配達員ら設立
2022年05月26日
会社に属さず個人で仕事を請け負うフリーランスとして働く人たちの結集を目指す任意団体「フリーランスユニオン」が26日、発足した。飲食宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達員ら有志が設立。さまざまな業界でフリーランスが安心して働ける環境整備を求め、政府への政策提言を行う。職場ごとの労働組合の設立も支援する。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022052601113&g=eco
○フリーランスユニオンが設立「無権利状態の改善が必要」「国に政策提言したい」
2022年05月26日
フリーランスとして働く人たちについては、雇用労働者には存在する労働法の保護がないことに加えて、実態は労働基準法上の労働者であるにもかかわらず、個人事業主として扱われる「名ばかり事業主」問題が生じていることから、フリーランスユニオンは「無権利状態の改善が必要だ」と主張している。
また、団体交渉ができる労働組合法上の労働者については、労働基準法よりも広く認められるため、フリーランスでも組合は作れるが、企業側から労働者性を否定され、団体交渉を拒否されるケースがあることも問題視している。
永田由美副代表(社会保険労務士)は、「フリーランスの労働者性を争う場合、フリーランスの側が立証しないといけないが、世界に目を向けると、欧州委員会では、立証責任を企業に転換する動きが出ていて、各国で潮流になっていくと考えられる。日本でも法制度を見直すべきではないか」と主張した。
https://www.bengo4.com/c_5/n_14517/
起業がビジネスパートナーとしてアウトソースに依拠する部分があるのであれば彼らの権利にも注意する必要がある。
■女性目線での施策の重要性
男女差別などは様々な問題の中でも喫緊に解決して欲しい問題だが、放っておくと企業は何もしない。組合の活動に頼らないとできないではなさけな。
○“更年期休暇”取りやすく 厚労省に法整備求める
2022年5月26日
労働組合やNPO法人などは26日、職場において更年期の体調不良の際、休みやすい環境を作るための法整備などを求め、厚労省に署名と要望書を提出しました。
更年期症状による欠勤が原因で雇い止めにあったという50代の女性は、大手コールセンターで非正規雇用で働いていましたが、めまいや激しい頭痛など更年期障害と診断され、体調不良で月2回ほど欠勤したところ、会社から、出勤率の低下を理由に解雇されたということです。
現在、更年期の症状による体調不良などを理由とした特別な休暇や欠勤などを認める法律はありません。
https://news.ntv.co.jp/category/society/99a1e814b215433e9d7aea9305c99f01
■人事部の役割
貴方の会社で働く人々は「隙あらば会社の利益をかすめ取ろうとする盗人」なのか「自分が働くにふさわし会社であり、貢献したいと思っている協力者」なのか、貴方はどう思っているのか?
会社の利益を生み出すのはヒトであり、彼らの協力無しでは会社が存続できないと思っているのであれば、彼らの声に耳を傾けなければならない。
かつて、会社は正社員だけで成立した時代もあったがいまでは非正規雇用のヒトが半分を占め、プロセスの一部をアウトソースすす時代である。彼らが不満と思っていることを放置すれば、会社の信用を毀損する事故も起きかねない。
これの防波堤には誰場なるのだろう。できれば人事部がその最前線で戦って欲しい。日和見で、言われたことしかしない人事部内陣部に未来はない。
<閑話休題>