無題(約束を守ると言うこと)
■PDCAの概念的枠組み
ISO9001:2015ではPDCAが重視されている。形式的な定義は置いておいて、平たく言えば、①どんな世界観を持っているのか
②それを実現するための目標をどう定めるのか
③そのための実際の活動をどう計画するのか
④それに従って活動を行い結果を出す
⑤旨く行かなかったとしたら何が悪いか考える
⑥何かを修正して再度挑戦する
と言ったところか。
ISO9001:2015では、特にうまくいったかどうかを判定できることを重視する。
そうでなければ検証できないからだ。
■立憲民主党の泉代表を評価する理由
少し旧い記事ではあるが、泉代表が公約(執行役員の半数を女性にする)を守った記事は、それなりに評価していた。
○立民役員、半数が女性 泉代表の公約達成
2021年12月06日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021120600939&g=pol
女性参画の重要性は、「」でも指摘されている。しかし、行政の管理者である自民党からは積極的な取り組みは見られない。
○女性候補 初の3割 参院選公示…181人 各党が積極擁立
2022/06/23
https://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/20220622-OYT1T50284/
でも、立憲民主党、共産党が擁立の半数以上を女性で占めているのに対し、自民党、共産党は2割程度にとどまっている。
こうした数字は、各党の「女性参画」への取り組み程度を判断できる。
一方で、数字を丸めると、この状況が見えなくなる。
朝日新聞の下記の記事は焦点がぼやけてしまう。
○女性の当選、過去最多35人 全当選者の28%に 与党は伸び悩む
2022年7月11日
https://www.asahi.com/articles/ASQ7C3S5YQ7BUTFK021.html
■抽象的な公約は検証のしようが無い
選挙になるたびに各党は公約を打ち出す。しかし、定期的に公約が実現できたかを検証しているメディアにはお目にかかれない。しかし、それももっともかもしれないと感じるのは、その公約の曖昧さだ。
自民党の公約は、約束ではなく「願望」にしかすぎず、その内容も「頑張ります」という子供じみた内容だ。
実際自民党の公約は下記で確認できる。
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/202206_manifest.pdf
この中で、計測可能になりそうな公約をピックアップする。
1.毅然として外交・安全保障で”日本を守る”
●NATO 諸国の国防予算の対 GDP 比目標(2%以上)も念頭に、真に必要な防衛関係費を積み上げ、来年度から5年以内に、防衛力の抜本的強化に必要な予算水準の達成を目指します。
2.強力で機動的な原油高・物価高対策で、“国民の生活と産業”を守る
※取り組みますなど、姿勢のみで達成水準はなし
3.徹底した災害対策で、“国民の生命・財産・暮らし”を守る
●福島の帰還困難区域については、国が前面に立ち、2020年代をかけて、帰還希望者が全員帰還できるよう全力で取り組みます。
4.感染症対策と社会・経済活動の両立で、“国民の命と暮らし”を守る
※支援します、取り組みますなどで方向性のみ。
<ここまで>
詳しい内容はネットで確認できるので見てもらうとして、ほとんどは「取り組みます」が主流であり、取り組みがうまくいったかどうかの基準も示されていない。当然、これを実現するための計画もない。
「明日から勉強を頑張ります」程度の公約だ。
自民党だけを取り上げるのは不公平だと言う意見もあるかもしれない。しかし政権与党であり、実質的な支配権があるのであれば、目標とそこに至る計画を示さない無責任差は回避できない。
■アベノミクスを評価できない理由
安倍政権下では公約が数字で示されている。ただし、未達である。
○GDP600兆円公約「言いっ放しは困る」 自民に見えぬ6年前の検証 野党も多い「意気込み」政策<参院選2022>
2022年6月25日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/185447
新3本の矢は、GDP600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロの3つ。これは全部未達だ。
ただし、未達であることを非難してはならない。
問題なのは、どうすればそれを実現できるのかの仮説がなく、「こうなればいいなぁ」という願望を数字にしているだけなので、検証ができていないことだろう。
意図した成果が出ていない理由を考えないこと、なぜ旨く行かなかったかを探索しなければ、次の約束事が達成できる保証が得られない。
アベノミクスが成功だという人は、「株価が上がったこと」、「有効求人倍率や失業率が改善したこと」をあげるが、それは最初のスタート時に設定したものではない。後から指標を持ち出すことは認められない。
あらかじめ決められた検証プロセスがなければ都合の良いように結果をつまみ食いする。
検証しないのではなく検証できないのだろう。
安倍政権が信頼できない理由はそこにある。
■計画という言葉の空虚さ
ISO9001:2015では、計画に以下を求めている。
a) 実施事項
b) 必要な資源
c) 責任者
d) 実施事項の完了時期
e) 結果の評価方法
特に、いつまでにおわらせるのか、ゴールに着いたかどうかは何で分かるのか。
こういった所だろうか。
いわゆるロードマップと対になっていなければならない。
こうした目でで見ると、岸田首相の言う「実行計画」「や「ロードマップ」は要件を満たしていない。
○「新しい資本主義」実行計画案 「資産所得倍増プラン」策定へ
2022年5月31日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220531/k10013651991000.html
どんな”実行計画”だろう。検索すると、下記の資料が探し出せる。
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)
~人・技術・スタートアップへの投資の実現~
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai8/shiryou1.pdf
その中には
「1.工程表の策定とフォローアップ」があり期待させる。しかし、その記述は
「本実行計画を具体的に推進するため、5年間を目途とする工程表を作成し、毎年度、実行状況についてフォローアップを行い、PDCAサイクルを進める。」
とあるだけで中身がない。
そもそも、全体を通して方針が記載されているだけで具体性はない。
かつて、審査員の先輩がお客さんに「お祈りのような目標を立てても何も変わりませんよ」と諭していたことを思い出す。
こうしたことを俎上に載せるメディアもないことに憂鬱になる。
閑話休題 2022/7/12
<参考にした記事>
○立民役員、半数が女性 泉代表の公約達成
2021年12月06日
立憲民主党の泉健太代表は6日、牧山弘恵参院議員を常任幹事会議長に充てるなど女性5人を執行役員に起用することを決め、同日の両院議員総会で承認された。既に就任した西村智奈美幹事長を加えると、執行役員の半数を女性にするとの泉氏の代表選公約は達成された形だ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021120600939&g=pol
○女性候補 初の3割 参院選公示…181人 各党が積極擁立
2022/06/23
立民は今回の参院選で青森選挙区の現職ら26人の女性を擁立し、男性の25人を上回った。
共産党は立民を上回る32人の女性を擁立し、党の候補者の55・2%を占めた。
これに対し、与党は前回の2019年参院選より女性候補の割合を高めたものの、再選を目指す現職男性を多く抱える事情もあり、自民党は82人中19人の23・2%、公明党は20・8%にとどまった。
https://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/20220622-OYT1T50284/
○女性の当選、過去最多35人 全当選者の28%に 与党は伸び悩む
2022年7月11日
10日投開票された参院選の女性の当選者は35人で、2016年と19年参院選の28人を上回り、過去最多だった。全当選者125人の28%にあたる。非改選を含めた女性の参院議員は最多となる。
https://www.asahi.com/articles/ASQ7C3S5YQ7BUTFK021.html
○GDP600兆円公約「言いっ放しは困る」 自民に見えぬ6年前の検証 野党も多い「意気込み」政策<参院選2022>
2022年6月25日
7月10日投開票の参院選で改選となるのは、6年前の2016年に当選した議員たちだ。政権を担い続ける自民党は当時の安倍晋三首相が打ち出していた「新3本の矢」を公約に掲げていたが、「名目GDP(国内総生産)600兆円」などは未達成だ。自民が今回発表した公約に、その検証はなく、新たな目標値設定にも消極姿勢が目立つ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/185447
○「新しい資本主義」実行計画案 「資産所得倍増プラン」策定へ
2022年5月31日
政府の「新しい資本主義実現会議」は31日、総理大臣官邸で会合を開き、岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けた実行計画案などが示されました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220531/k10013651991000.html
以上
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