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世間に転がる意味不明:効率化は最適解ではない(2024年問題と運転手不足)

■インプットを減らす施策

効率とは、インプットに対してアウトプットを増やす行為である。その時に、アウトプットの拡大が見込めないとインプットを減らす施策をとりがちである。仮に事業拡大を狙い、店舗拡大、工場の設備投資拡充、工場の新設などがあったとしても、ユニット単位でのアウトプットは望めない。アウトプットの増大のためには、イノベーションの発露が必要であるからである。

インプットの削減は、主には「ワンオペ」あるいは「アウトソース」による、本来は企業自体が責任を取るべきことを他者に押しつけることで成り立つ。それは、企業活動にゆがみをもたらす。

2024年問題の本質の一つは、働く人に負荷を押しつけることで利益を出す行為を改めよというメッセージであるが、多くの人はそこに焦点を当てない。そのため、政策も「労働環境」には目を向けるが「貧困」には目を向けない。「働く人に負荷を押しつける」行為をしながら報酬を上げないと云うことが、弱者にたいして貧困を押しつける行為だというのにである。

■無視しないで欲しい記事

○低賃金だけが理由じゃない! もはや社会問題となっている「路線バス」の運転手不足はなぜ起こる?
2023年12月31日

 最大の要因は、バス運転士の給与の安さだとされる。2022年の所得額は400万円を切っているとの調査結果がある。月額にすると33万円ほどであり、家賃を払い家族を養うとなれば、決して楽な収入ではないだろう。それでいながら、路線バスはトラックと違った責任があり、乗客の安全を担いながら移動を約束する仕事で、かつほとんどがワンマンでこなさなければならない。

 乗客からのそうした声に、バス会社が丁寧に説明する事例もあるようだが、運転士がひとりで孤軍奮闘しなければならない場面も現実問題少なくない。安全運転と定時での運航が求められるバスの運転士に、さらに乗客からの批判が集中し、かつ給与が十分でないとすれば、路線バスの運転士になろうとする意欲は高まらないだろう。

https://www.webcartop.jp/2023/12/1261169/

同じ記事でワンマンバスの歴史的な背景も記載されている。

「かつて、昭和30年代は路線バスにも車掌が乗務し、運転士とふたりでの運行だった。それが人口減少や乗客の減少などにより、運転士がすべてをこなすワンマンバスへ転換されていった。いまから60年も前から、課題を持ちながら路線バスは運営されてきたのである。」

同様に、いわゆる「個人事業主」だからといって、企業がすべき人的施策(教育訓練、保険など)を放棄し、インプットを減らすと取り組みもあり、その弊害などは以前から指摘されている。

○ウーバーやスキマバイトが貧困の温床に、“スマホでお仕事”に潜む「労働者格付け」の危うさ
2021.8.25

 経済情勢が悪化するたびに、企業が人件費カットを目的に雇用調整に走るのは毎度のことである。かつて、派遣切りや偽装請負(実態は労働者派遣なのに請負を装うこと)が横行したときも、やはり経済がピンチだったときだ。決まってそのしわ寄せは、雇用の調整弁とされてきた非正規労働者へ向かうと相場が決まっていた。

企業が「雇用を抱えない経営」へ突き進むことは、新たな不安定層を生む。非正規労働者よりもさらに立場が弱い「最底辺の働き手」である。

 それが、“ギグワーカー”と呼ばれる人たちだ。インターネット上のプラットフォームサービスを介して、単発で仕事を請け負う働き手のことをいう。

https://diamond.jp/articles/-/280142

■効率化の発想から離れよ

アウトプットを「財務」的なものにこだわると判断を誤る。財務的なことをないがしろにして良いと言っているのではない。評価指標を、もっと目的的なものにすべきであると言っているのである。

公共交通機関は住民サービスの一つである。したがって、アウトプットは「住民の満足度」である。財務的な指標は「制約条件」である。すなわち、インプットを保持するための条件であり、これを追い求めることと、本来の意味での効率は分離しなければならない。

さもないと、社会課題は解決し無いであろうし、2024年問題の背景である「働く人の安全確保」も無視されかねない。

○日建連会長 大阪万博工事の“時間外労働規制の例外”に現時点で否定的
2023/10/20

工事が遅れ状況が差し迫っても日建連から規制の例外とするよう求めることはないかと問われると、「現時点ではない」としつつも「その時に会員企業からどんな要望がでてくるのかということは、その時に判断をしていきたい」と述べ、含みを残しました。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000320789.html

が記事になること自体が間違っている。

(2024/01/04)

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