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束縛からの脱出(リモートワークの可能性)

■浸透しないリモートワーク

新型コロナの感染は収る気配もなく、感染を危惧しながら働き続けている。
 そんな中で、政府はリモートワークを推奨しているが、一向に浸透する気配もなく社員に出社を求める企業も多いと聞く。

もっとも政府がリモートワークの推奨を求めても、それが有効だったのかどうか検証のしようが無い。下記の記事は、結果としてはそれほどドラスティックな行動変容を起こしていないことが分かる。

○年代別に見たコロナ禍の行動・意識の特徴~働き方編
-若いほどテレワークに積極的な一方、現場業務の負担も
2021/02/22

20~59歳の正規雇用者全体では、コロナ禍で会食や対面会議、出張などのリアル行動では減少層が目立つ一方、在宅勤務などのテレワークは増加層が目立つ。なお、出社でも減少層が増加層を上回るが、変わらないが約6割を占める。また、テレワークは医療や運輸、小売業など在宅勤務の難しい業種をはじめ約半数が利用していない。

https://jinjibu.jp/article/detl/hr-survey/2451/

働き方の硬直化は企業にとっても良いことではない。

「日本の企業が持つあくなき品質への取り組みや高い現場力が、結果として、スピードの遅れや、クラウド化の遅れにつながった。これが海外企業との差になり、競争力にもギャップが生まれた」https://ascii.jp/elem/000/004/097/4097415/

何が問題なのだろう。
 工程間のリードタイムを減らす。意思疎通を素早く進める。などと言ったスピードを速める取り組みはしているだろう。しかし、第1に全ての業務がすべて連続で行なわれる必要は無い。第2に、意思疎通は全てリアルタイムで行なう必要は無い。つまり、コンカレントでできることをリニアな線上に乗せていることが問題なのだろう。

■同期型と非同期型の働き方

もう一つの要因として、コミュニケーションツールの多様化がある。
 フェースツーフェースが有効であることは認めるが、それ以外にも有効な方法があることをこのコロナで皆が知ることになった。

仕事の仕方も、コンセプトが変わるだろう。例えば「同期型」「非同期型」だ。

コミュニケーションを例にとってみると以下のようになる。

同期とは、対面やオンラインのミーティング、電話、チャットツールなどによって同じ時間を共有する、リアルタイムのコミュニケーションを指す。
 非同期とは、個々が都合のよいタイミングでコミュニケーションに参加することで、メールやチャットツールでのやりとり、電子掲示板などの利用がある。

ベルトコンベアの様に中間製品が送られてきて直ちに処理しなければならないものはその時間軸に支配される。同期が他業務の典型であろう。これに対し、処理がスタックに積まれ先入先出しであれば、自己の処理能力や状況に応じて処理すれば良いし、チームであれば適正に配分しコンカレントで行なえば良い。例えば、システムの個別機能の実装や、総務での経理処理などもあるだろう。非同期の働き方の例になる。

こうした働き方があることを前提にして意識改革も行なわなければならない。

○20代と部長クラス、同期/非同期の働き方を意識的に使い分け--Dropbox Japan調査
2022-07-11

今回の調査では、“同期/非同期”のコミュニケーションの意識的な使い分けについても聞いている。Dropboxは、「スマートな働き方を創造する」をミッションとしており、全従業員がテレワークを日常業務の基本とする「Virtual First」企業となることを2020年10月から標榜している。その重要な柱の一つとして、同期/非同期のコミュニケーションを意識的に使い分けることがある。

同期/非同期を意識的に使い分けているかについては、「どちらともいえない」が41.4%で最も多かったが、37.4%が意識的な使い分けを既にしていることも明らかになった。年代別では20代に意識して使い分ける傾向が強く見られ、男女それぞれ44.5%、49.1%だった。

https://japan.zdnet.com/article/35190195/

社員の意識は経営理念でだけしか変えられないと私は信じている。
 その理念に、社員の働き方を変えるのだという信念があり、そこに向かうロードマップを示すという単純な枠組みは有効だろう。そうした意味で、コミュニケーションを中心としたサービスを提供する会社のメッセージは説得力がある。

○Dropbox Japan、非同期を基本とする新しい働き方「バーチャル・ファースト」を実践
2022/07/09

梅田氏は同社の使命を「スマートな働き方を創造すること」だとした上で、2021年4月から「バーチャル・ファースト」という働き方を取り入れていると話した。

https://enterprisezine.jp/news/detail/16289

この中で、「バーチャル・ファースト」として以下の特徴を挙げている。

○同期と非同期の使い分けルール
・同期:会議、電話
・非同期:e-mail、chat、doc
・会議は3D(discussion、debate、decision maiking)に絞る
○Dropbox studio
・出勤するための「オフィス」ではない
・社員同士のコラボ、チームビルディング、お客様との打ち合わせのためのスペース
○バーチャル・ファーストツールキットの公開
・リモートワークに関する様々な原則をまとめたオープンソースのガイド
・バーチャルファーストの実践から学んだ知見に基づいて随時更新

物理的な制約から開放するための道筋を示している。
 この中で”出勤するための「オフィス」ではない”は多くの企業に聞かせたい。
 会社自体が変革することが必要である。

■様々な技術サービス

電話とFAXしかなかった時代ではない。
 音響カプラーで通信をしていた時代ではない。
 技術の進歩は多くの環境変化をもたらす。
 新たなサービスは仕事のやり方や会社の有り様を変える。

○RevCommがZoomと新サービス 「MiiTel for Zoom」発表
2022.07.11

コロナ禍によるリモートワーク普及の波に乗ってZoomなどオンライン会議システムの利用は当たり前のものとなったが、こと社外クライアントとの商談など営業活動に関しては、オンラインツールに頼れない、頼りたくないという話も根強い。

MiiTel for ZoomはAIによる文字起こしとトーク分析機能により、Zoomを用いた商談を可視化するとともに、その履歴を経験の浅い営業マン向けのセルフコーチング素材として活用できるようにする。2022年7月7日にこのMiiTel for Zoomの概要を公開する記者発表会を開催。

https://ascii.jp/elem/000/004/097/4097334/

○会社の代表番号に掛かってきた電話をスマホで取る「Zoom Phone」が本格的に
2022年07月10日

Zoom Phoneは、クラウド電話システムと呼ばれるサービスで、従来のオンプレミス型のPBX(電話交換機)を置き換えて、公衆電話サービスを利用できる仕組みを提供。スマホなどのモバイルデバイスやPCを利用して、固定電話などの番号で通話できるのが特徴だ。

例えば、代表電話の仕組みは、オフィスに出社することが前提の時代に構築されたものであり、出社している社員やオペレータが対応すればよかったが、在宅勤務が増加したことで、代表番号にかかってきた電話に出られないという課題や、電話対応のために出社するといった課題が発生していた。Zoom Phoneでは、これらの課題解決に貢献できるとしている。

https://ascii.jp/elem/000/004/097/4097415/

■多様性に対応できない企業は生き残れない

時間と場所の制約がなくなろうとしている。人材調達をグローバル視点で行なおうとするなら、直接会わないと仕事が進まないというビジネスプロセスを変えなければならない。製造拠点や物流拠点についてのリモートコントロールができるなら、実際の稼働時間とは別の時間軸でメンテナンスができる。朝と夜中という問題はあるかもしれないが、地球の反対側のメンバーとの意見交換も可能だろうし、非同期のコミュニケーションでビジネスを展開できる。

今のように、会社に来て仕事をしろという発想を抜け出せなければ働くヒトも企業も自由な発想でのビジネスはできない。

いいかげん、うまくいっていた昔の会社運営から脱却しなければならない。

<閑話休題>


<その他の参考にした記事の抜粋>

○「ニューノーマルの働き方」調査結果を発表、社員に支持される「バーチャルファースト」の取り組みも紹介
リモートワーク頻度と「ワークライフバランスの幸福度」の関係、Dropbox調査
2022年07月12日

「いま、リモートワークをされている方が30%。一方で、リモートワークをしたいと考えている方は48%いる。そこには今の会社の仕組みや経営陣の考えと、現場の社員の意識にギャップがあることがわかる。ちなみに『毎日リモートワークをしたい』という方(11.9%)よりも、『1週間に1~2日程度』(18.0%)や『1週間に3~4日以上』(12.5%)のほうが多い。どちらかというと(リモートワーク“も”できる)選択肢がほしい、という方が多い」

https://ascii.jp/elem/000/004/097/4097594/

以上

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