我が家にカマキリブーム到来中。
蟷螂生(かまきりしょうず、第二十五候、6月初め頃)の頃から、庭にカマキリを散見せられるようになって、「七十二候ってのは気候変動の渦中にあっても正確なものだなぁ」と感心していたものだが、このところ9月に入ってから8令(成虫)となった巨大なオオカマキリをよく見かけるようになって、大きな虫カゴに入れてみることにした。
これがよく食べる食べる。
幸い、森の中の一軒屋なので、玄関を開ければ(開けなくても)ありとあらゆる虫がいて、エサには困らない。
コオロギを同じ虫かごに入れると、美しく鳴いていたのにいつの間にか捕食されていて、胸が痛んだので、バッタやアリなどを入れるようにした。
両の鎌でものすごいスピードで他の生き物を捕獲し、生きたまま、お腹から、頭から、食べる。踊り食い。食べられている生き物は、その間、身動きもできず、ただ、食べられている。すさまじい光景だ。
図書館でカマキリ図鑑も借りてきて、だいぶカマキリに関しては詳しくなった。5回以上脱皮をするんだそうだ。
カマキリが我が家にやってきてからというもの、他のすべての小さな昆虫がエサに見えるようになってきたので、以前は家族で騒いでいたゴキ○リの出現だって、「あっエサになる!捕獲しよう!!」と色めき立つありさま。だいぶ楽しい。
ムカデを入れたらどうなるのか?ハブとマングースの戦いを見れるかのようで妻の目はランランと輝いていて、後日、捕獲して投入。やはり両者のサイズ・バランスが勝敗を分けるようで、この勝負は大きなムカデに軍配。
さてそんなカマキリであるが、ここ数日めっきり食欲が落ちていた。エサを入れても見向きもせず、のんびりと共存したりしていて。
しばらくすると、新しく投入した個体が偶然にもオスとエスだったようで、なんと、交尾をはじめた。
カマキリの交尾!
すごい。
オスがメスに馬乗りになって、S字に生殖器を差し込む。メスのお腹はドクドクと脈打っている。
交尾時期に入っていたから食事をしなかったのだ。
そんな交尾は半日以上続き、翌朝には、2匹は離れて別々になっていた。が、オスの様子がおかしい。メスを凝視して、1ミリも動かない。
メスは、オスを捕食するらしい。それを警戒してのことか。
そしてこの卵をもったメスの食欲が、すごいのなんの。食べる食べる。
エサを投入した先から踊り食う。小さいサイズのカマキリを入れると、メスは頭からかじり、食事の最中に不要にも頭部を落としてしまった。すると頭部をなくしたカマキリは、首なしの状態で、ふらふらと徘徊している。
首は虫かごの中に落ちたままだ。
なんというか、生き物、いろいろと、すさまじい。
カマキリより大きなサイズの人間に生まれて、本当に良かったなと思う。昆虫に生まれていたら、カマキリが恐ろしくて仕方がないよ。縮んで昆虫サイズになるのも嫌だな。
8月のセミの羽化に続き、この夏は、生き物の神秘に目を向ける季節となった。
※この記事は2020年9月に執筆したものです
<了>