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あなたの会社、「システム部門」は本当に機能していますか?
第一回では、「システム部門に望まれること」として、自社のシステム部門に求められる役割について紹介しました。今回、第五回は、その役割の実効性、並びに「自社のシステム部門」に経営が期待する役割を担保するために必要と考える、「経営者、システム部門」の現況認識(今の実態は?)観点
について紹介したいと思います。
●システム部門に望まれること(再掲)
●経営層の現況認識
●システム部門の現況認識
意識されるべき「再検証観点(チェック)」の一助として活用頂ければ幸いです。
システム部門に望まれること
システム部門の新たな役割として、以下の7点を上げました(表現方法を少し変更しています)。
企業経営へのコミット力の強化(経営戦略とIT戦略の整合追求へ)
現場でのIT活用推進力の強化 (情報活用力定着牽引部門へ脱皮)
ITコアコンピタンスの明確化(自社に温存すべきスキル明確化)
IT投資コストの適正化(IT投資評価(IT-ROI)手法の確立)
コンプライアンスの強化(セキュリティ、情報保護、適法化推進)
事業継続性の保証、担保力強化(災害時対策、内部統制対応)
新たなソリューション対応力 (ビジネススタイル変革、最新技術研究)
経営(会社として)の現況認識
経営層の皆様、システム部門に対しどのような現況認識を持ち、「決定、行動」していますか?
システム部門の位置づけを、明確にされていますか?
コスト部門 or プロフィット部門、どちらと位置付けていますか?
システム部門に期待していることを明示されていますか?
システム部門にもビジネス意識を持たせたいと考えていますか
DXの推進部門として、指針を示していますか?
社内業務、事業支援効率化に徹してくれれば良いと考えていますか?
システム部門と、どのくらいの頻度でコミュニケーションを取っていますか?
システム部門への期待は、トップとして明確にしていますか?
名前だけ、形だけのトップになっていませんか?
コストカットを求められることが、主になっていませんか?
経営層、現業部門への「コミット事項」を明示(宣言)させていますか?
自社人材でやるべきことを明確にされていますか?
自社及び自社人材の「コアコンピタンス指針」を明示していますか?
外部人材で賄うべき事項、機能を明示していますか?
システム部門を、「組織的」にどう位置づけていますか?
CIO(Chief Information Officer)を設定していますか?
CIOの立場は、役員ですか? 従業員ですか?
どの役員の管掌下にありますか?
組織図上、どのような位置づけにありますか?(どの配下ですか)
システム部門長の位置づけ(役職)を、どのようにしていますか?
経営計画で、「システム(IT)計画」について明示していますか?
経営の中期・年度計画目標などに、明確に提示していますか?
経営活動とセットで語られていますか? 明記していますか?
BCP/BCM(Business Continuity Plan/BC Management)を考慮していますか?
システム投資規模、期待リターンなど、きちんと明示していますか?
システム計画・目標に対して、実践結果を「評価」していますか?
評価する手法、KPI(Key Performance Indicator)は、明確ですか?
評価会議などは、定期的に開催されていますか?
システム部門の人材は、ローテーションの対象としていますか?
専門性を重視していますか?(スペシャリスト重視)
現業部門との調整力などを重視していますか?(ゼネラリスト重視)
ローテーションのタイミングを規定していますか? 今まで、どのようにローテーションを実施していましたか?
主に、どのような人材を、採用、配属(配置)していますか?
基準などを、明確にしていますか?
SDGs(Sustainable Development Goals)を意識していますか?
社会、世界環境などを意識した取り組みを加味していますか?
上記に関して、「ドキュメント化」していますか?
口頭だけ、背中を見させているだけで、十分だと考えていませんか?
周知する「仕組み」を、確立していますか?
システム部門の現況認識
経営方針としてのシステム部門の役割を「理解」されていますか?
経営層と、定期的なコミュニケーションを取っていますか?
経営層の考えを「理解」していると考えていますか?(期待値、期待事項)
経営方針を受け、自組織のコアコンピタンスを明確にしていますか?
コンプライアンスについて、明確に提示していますか?
事業継続に関する取り組みを、明確にしていますか?(BCP/BCM)
システム部門は、経営方針実践のために必要な位置づけになっていますか?
組織上、活動しやすい位置づけになっていますか?
自社の「カルチャー」を理解していますか?
システム費用を、投資と捉えられていますか?
リターン計画、リスクなどを、明確にしていますか?
計画、目標に対して「評価」する仕組み、KPIを明確にしていますか?
システム部門の目指す役割を、明確にしていますか?(自社人材への期待)
ビジョン作り(ビジネス創造(アイデア)、事業企画立案)
基本構想作り(ビジョンのIT化構想立案)
RFI/RFP(Request For Information/RF Proposal)作り(ベンダー選定)
基本計画作り(基本構想のIT化計画立案(構想の具現化))
業務要件定義(IT化する業務の要求事項のとりまとめ)
開発での役割(設計~テスト) ※プログラミングも手掛けるか?
非機能設計、非機能実装
開発後の保守、運用(オペレーション)、問い合わせ対応等
構築(開発)中における「現場教育、指導、統制」 など
最新技術(IT・ソフト・サービス)を取り入れる環境が整備されていますか?
人材育成計画や、実践のための環境を整備していますか?
リスキングなど、変革をもたらすような取り組みを整備していますか?
システム部門に関する「ノウハウ継承性」環境は、整備されていますか?
属人化していませんか?
定常的に要員配属がされていますか?
社内ローテーションの仕組みに入っていますか?
社内他部門との昇降格、処遇、評価などに差がありませんか?
QC(Quality Control)やアシュアランス的な制度は、導入されていますか?
開発品質基準などは、整備されていますか?
開発、生産物などに関する「第三者検証」制度などは整備されていますか?
進捗報告などにおいて、「現場・現物・現実」を徹底していますか?
システム部門の人材充足度は、満たされていますか?
社内規定の「コアコンピタンス」を実践できる体制ですか?
人材の質(スキルセット)、作業内容、経験などに齟齬を感じていませんか?
外部人材、支援企業などの活用に関する規定は、明確にされていますか?
外部リソースで賄うべき範囲について、規定していますか?
外部リソースマネジメントについて、規定していますか?
自社システムの導入、活用形態について、規定していますか?
上記に関して、「ドキュメント化」されていますか?
口頭だけ、背中を見させているだけで、十分だと考えたりしていませんか?
ドキュメントは、加筆・修正・削除などが大変だと考えていませんか?
周知する「仕組み」を、確立していますか?
以上、一般企業 ≪*1≫ におけるシステム部門(そうした機能を持つ部門を含め)の現況評価の検証観点について紹介しました。自社が「どのような状況にあるのか、何が不足しているのか、どこが弱そうなのか」といったことなどにつきまして、再度検証して頂けたらと思います。
当然のことながら、検証されただけでは意味がありません。 同時に、問題解消のため、強靭化のための計画、施策を立案し、実践してこそ意味があることは、言うまでもありません。
評価検証されたい際は、是非お声掛け下さい。(本サイト活用)
次回から、「人が人に報告するということは」と言ったテーマで、「報告にあたって留意すべき事項などについて紹介していきたいと思います。
引き続き、宜しくお願い致します。
【注記】
*1:「一般企業」とは、所謂「ITベンダーやソフトウェアベンダー
など」のIT、ソフト開発・支援を本業としない企業を言う。