ミステリー & 新しく踏み出す勢いにもなる <歌舞伎座の紳士>
「“怪紳士”は怪人とは違うよね?」と思いながら恐る恐る読み始めたら、怪しさはうっすらと漂う人でした。さて、この人は?と私の推理が駆け巡ります!
タイトルとなっている歌舞伎座には足を運んだことがないですが、従来の昼、夜の二部制から三部制となり料金も少しお安くなったとのこと。感染対策もバッチリで、人気が高まっているようです。
と、先に歌舞伎座に触れましたが、本作は歌舞伎の演目紹介が多々あり、歌舞伎のわかりやすい解説が入っています。私のような初心者は、筋書やイヤホンガイドの利用が必須と感じました。
本作のあらすじをかいつまんでご紹介すると、主人公は27歳の久澄(女性)で現在は家事手伝いで母と同居。先のことを考えなければと思う一方、家事と犬の散歩で過ぎていく毎日。ある日祖母のしのぶさんから、お芝居を観に行って感想をメールで伝えることを依頼されますが・・・
なぜ、この依頼が久澄に?
お芝居を観に行く度に出会う紳士は何者?
そして、観に行った先での久澄が目撃すること、巻き添えになることの真相は?
と、次々に謎が深まるばかり。
近藤史恵さんの本は推理ものが多いですが、本作のように日常にある場面での謎解きは親近感を抱きます。もし自分の立場で見聞きしたら、どのように振る舞っていたかを想像するとドキドキしてきます。
そして、大事な見どころは久澄がお芝居を観に行くことで生活にハリを見出し、友人や姉の香澄にも自分の意思を伝えるところ。周囲との関係を随所に組み合わせるところがさすが近藤さんですね。
歌舞伎だけでなく、オペラのカルメンも登場するので観劇ファンにはお得感満載。ミステリーでありますが、新しく踏み出す勢いにもなる1冊だと思います🏃♀️
<おまけ>
私のように、歌舞伎が初めての方は以下のサイトをご参考にご覧ください。