SaaSで1番目に重要な指標と2番目に重要な指標
SaaSモデル・サブスクリプションモデルで1番重要な指標はMRR(Monthly Recurring Revenue=月次継続収益)または1年間の月次継続収益の合算であるARR(Annual Recurring Revenue)という人が多いのではと思います。
・営業、マーケが悪ければ新規獲得できずMRRを積み上げられない
・良い顧客獲得ができないと解約されるのでMRRを積み上げれない
・CS、プロダクトが悪ければ解約されてしまうのでMRRを積み上げれない
とSaaSビジネスの総合力が必要とされる指標ですし、売り上げが伸びれば伸びるほど利益を出しやすくなるモデルでもあります。
(もちろんMRRが絶対的に一番重要な指標であるとは思いませんが比較的に一番に上げる人が多そう)
では2番目に重要な指標は何だろう?と思いTwitterでこんな質問を投げてみました。
結果は圧倒的に解約率だったのですが、こちらの結果が大変興味深かったので私なりの考えをnoteにまとめてみたいと思います!
(ご回答いただいた皆さん、誠にありがとうございます!!)
もちろんMRRが一番ではない可能性含め、何を重要視するかは会社の思想や事業モデル、事業フェーズ、事業戦略などによって異なりますし絶対的な答えは無いと思います。
だからこそ二番目に重視する指標はその会社の経営者や事業責任者が何を考えているかを知るのに大事な観点かなと。
また投資家の目線なのか、経営者の目線なのか、社員の目線なのか、顧客の目線なのかなど、何を大事にすべきかは立場によっても変わると思います。
4つの指標それぞれの特性を簡単に解説して、最後に私が重視している指標について書きました。
1.解約率(継続率)
上記の通り、最も多い半数以上の方が解約率と回答されました!
解約率以外の成長率・顧客数(市場シェア)・営業キャッシュフローは五十歩百歩な結果でした。
解約率を選ぶ理由は、
・プロダクト、サービスの完成度、満足度を反映しているから
・将来的な成長性に関わる重要な指標だから
辺りかなと思います。
A.現状のMRR1億円で月次の成長率が5%、解約率が3%の事業
B.現状のMRR1億円で月次の成長率が5%、解約率が1%の事業
の2つがあるとすると3年後にはBがAの約2倍のMRRになってしまいます!
MRRの次に事業の総合力が必要とされる指標だと思います。
2.成長率
MRRは過去のその会社(事業)の頑張りの総合評価であり、将来性について判断することが難しいです。
将来性を判断するのに最も分かりやすい指標が成長率だと思います。
例えば
A.現状のMRR5,000万円で月次の成長率が3%の事業
B.現状のMRR2,500万円で月次の成長率が10%の事業
の2つがあり仮に成長率が1年間変化がないと仮定すると1年後にはBがAを逆転します!
また、実際に成長率が企業価値(株価)に影響があるというデータも出ていますので、成長率はMRRだけでは評価できない事業価値を評価する重要な指標だと思います。
3.営業キャッシュフロー
ビジネスにおいてキャッシュ=現金がないとそもそも事業継続できないので、経営において最も重要なのがキャッシュフローと考える人も多いと思います。
SaaSビジネスは先行投資型なので、キャッシュフローの健全性を測る目安として
LTV/CAC > 3
CAC payback period = 12ヶ月前後(6-18ヶ月)
というような指標も存在しています。
獲得コストを突っ込みまくって積み上げたMRRとオーガニックな紹介などで積み上げているMRRでは価値が異なります。
当然ながら営業キャッシュフローがマイナスだと将来的な事業の継続性を疑わざるを得ないですし、逆に非常に多くの営業キャッシュフローを稼げていればさらなるプロダクト開発などに投資することができます。
それらの観点で営業キャッシュフローはめちゃめちゃ重要な指標だと思います。
4.市場シェア(顧客数)
ARRが10億円の事業があったとして、1000億円あるマーケットで10億円なのか、100億円あるマーケットで10億円なのかで全く事業としての評価は変わってくると思います。
ARR10億円だけど競合他社B社が50億円、C社が100億円だとすると将来的にシェアを奪われたり、そもそもマーケットシェアを取れていないので将来性に不安を感じてしまいそうです。
それ以外にもネットワーク効果があるようなサービスの場合は顧客数そのものが事業価値になったり、顧客数が獲得できていれば将来的なアップセル、クロスセルの機会もあるので、市場シェア(顧客数)も非常に重要な指標だと思います。
結局どれが一番大事なのか?Akerun(アケルン)の場合
現在私がCOOを務めるフォトシンス社はIoT×SaaSという事業モデルでAkerun入退室管理システムを提供しています。
事業として何を大事にするかは常に悩み、取捨選択し、重要視する指標を定めています。
2019年2月現在の私なりの考えは上記4つのどれでもなく、強いて言えば4の市場シェア(顧客数)に近いのですが、IoT化した扉の数と鍵の数がMRRの次に重要な指標かなと思っています。
それはウチの会社のミッションが
つながるモノづくりで感動体験を未来に組み込む
であり、Akerunにおいては
世界から鍵をなくす
を事業のビジョンとしていて、ミッション・ビジョンを最も体現しているのがIoT化した扉の数と鍵の数だと思うからです。
(とはいえ解約率もキャッシュフローもめちゃめちゃ大事にしますが。。)
目の前の指標を追いかけているとどうしても疎かにしがちですが、
・なぜその事業をやるのか
・何のためにその事業をやるのか
を常に問い続け、その都度その都度で重要視する指標を見極めブラッシュアップしていく必要があるかなと思います。
そんな弊社では様々なポジションを募集中です!
・まだまだ試行錯誤中なのでぜひ意見交換などさせていただきたいです!
・ご意見、ご感想あればぜひコメントください!
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