#52 本当の悪魔とは、
ここの所ニュースや報道番組を見ることがめっきり減った。もともとそんな面白いものではない。だから面白くなくなったからというわけではない。いつからだろうか。もの悲しさ、虚しさを強く感じるようになったのは。
政治家は責任を被りたくないのか、何を問われても曖昧なことやありきたりな同じ言葉を繰り返す。責任を受け止めることもあなたの仕事じゃないのか?過ちを認めそれを正すのがあなたの責務じゃないのか?素直さや誠実さはどこにいったのか。
そして待ってましたと言わんばかりに、そこに群がり叩きまくる人たち。不正を指摘し、気づかせることは確かに正しい。でも、最近は度が過ぎやしないか?
フジテレビのドラマで、「リーガル・ハイ」というのがある。堺雅人さんや新垣結衣さんが弁護士を演じていて、コミカルで痛快ですごく好きだった。ある裁判のシーンの中で堺さんのセリフにこんな言葉がある。
「本当の悪魔とは、巨大に膨れ上がった時の民意だよ。」
数が多くなって力が大きくなり過ぎると、必ずどこかで箍が外れる。寄ってたかって完膚なきまでに袋叩きにするのは、断じて正義なんかではない。
ぼくがもの悲しさや虚しさを感じるのは、むしろこっちの方だ。自分こそが正義だと信じて疑わない人が声高に、攻撃的に叫び、時に罵倒する。そして周りがそれを助長する。そんな番組や報道を見ると、とてもマスコミのあるべき姿とは到底思えない。膨れ上がった民意に、恐怖すら感じる。
今はみんなが感情的になりすぎている。この記事を書いている最中のぼくも含めて。箍が外れた力はあらぬ方向へ向かい、様々なものを壊していく。最悪の悲劇が、現実に起きてしまった。本当の悪魔は気づかぬうちに大きくなり、暴走を始める。一回冷静になろう。立ち止まろう。そうすれば悪魔はそう簡単には大きくならないはずだ。
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