2011.3.11〜東日本大震災直後のくらしを振り返る①
まえがき
東日本大震災から13年以上の時が過ぎた。
これまで、震災当初の自分の周りのできごとは自分の記憶の中に留めていて、人に話したり、何かに書いたことはなかったと思う。しかし今年、あるきっかけから、そういう記憶を何らかの記録として残しておこうと思い立った。
13年も経つと、忘れてしまったことも多いが、自分の周りで起こったこと、目にしたもの、思ったこと、考えたことなど、思い出しながら書いていきたい。災害下における、ひとりの仙台市民の生活を。
職場にて
この日、14時46分以前のできごとはほとんど覚えていない。
ひとつだけ、昼休みに浦和レッズサポーターの同僚と翌日のJリーグのことを話したこと。前の週に開幕した2011年のJリーグ、ベガルタ仙台のホーム初戦を翌日に控え、ワクワクしていたことは覚えている。
昼休みが終わって、ちょっと眠いなあと思ったところでの突然の強い揺れ。とりあえず頭を守るべく、机の下にもぐって、しのげば…と思っていたが、甘かった。たて、横に揺れがますます強くなり、しゃがんだまま動けなくなってしまった。机、いす、ロッカーなど、部屋中のものが動き始め、倒れた。これまでいろんな地震を経験してきたが、「これはものが違う。ヤバいやつだ!」
ようやく揺れが弱くなったので(止まったわけではない)、職場の前の公園に同僚と避難した。社用車のカーラジオからは「6メートル以上の津波が来る」との声。「6メートル?」数値としては分かっても、どういうものなのかその時には想像できなかった。やがて風も吹いてきて小雪もちらつき、寒くなってきた。断続的に揺れが続いていること、停電になってもはや仕事にはならないことから、職場には上司が残り、我々一般の社員はこの日は解散、となった。
帰路〜自宅の様子
当時は自転車で通勤していたので割とすんなり家に帰れたのだが、仮に車だったら停電で信号が消えていたので運転により神経を使ったことだろう。途中途中、階段部分が落ちてしまった歩道橋、ガラスだけでなく壁も落ちてしまったビルなど、あちこちに地震の爪跡が残っていた。
家(アパート)に着いたら、ベランダの窓が開いていた。どうやら、揺れでクレセント錠が少しずつズレていき、ある時ついにカチッと開いたらしい。さらにサッシ自体も揺れにより開いていったらしい。防犯上はちょっと問題だが、仮に錠をロックしてたら揺れの逃げ場がなくなりガラスが割れていたと推測される。
家の中に入ると、まず電子レンジが冷蔵庫から落下していて、中の耐熱皿も割れていた(電子レンジそのものは無事で、今も現役である)。食器カゴは中の食器も含めて無事だったのがちょっと不思議だった。ちなみに翌4月の大余震の時は逆で、レンジは無事だったけど食器カゴは落ちて食器が粉々になった。
居間に入る。液晶テレビが尻もちをつくように倒れていた。後で聞いた話だと、液晶面が下になって倒れると、液晶が割れたケースもあったようだ(このテレビも未だ現役)。その他、本が散乱していたり、電気ポットから水が漏れ出て床が濡れていたり、壁紙が破れていたり(壁自体の状態は不明)していたので、暗くなる前に部屋の片付けを行った。
ライフラインの方は、その時点で電気はつかない、水道は出る(結局、我が家は水道はずっと通常通り使えた)、ガス(プロパン)は爆発したら大変、と試そうともしなかった。
また、「今、世の中はどうなっているのか…?」と情報を得ようとしたが電池がなく、ラジオは使えない。また携帯電話(当時はガラケー)の電波もつながりづらくなったことから、バッテリーの節約のため電源を切っていた。電池とか充電器とか、用意しておけばよかったと思ったが後の祭りである。この時は、カーラジオがある、ということには気づいていなかった。
夜が来る
暗くなる前に、情報収集となにか食べ物を買えればと思いちょっと家の周囲を回ってみた。近所のスーパーはすでに閉店、またコンビニも食べ物とか目ぼしいものは売り切れていた。ただ、駅前のコンビニで「あんこ玉」を買うことができた。これが、貴重な食べ物になるとは、その時はもちろんわからなかった。
家に戻り、冷蔵庫にあったものを少し食べた。何を食べたかは覚えていない(冷やご飯と何か)。停電してるのに冷蔵庫はまだ冷えてるんだ、3月だからかなあと思ったことは覚えている。
上記のような行動をしている間も、相変わらず揺れは間断なく続いていた。多少大きめのものから、一瞬揺れた、といった程度のものまで。そのたびに仙台市の防災メールが来るので、それも携帯電話の電源を切った理由かもしれない。
夜が深まってきた。あまり眠れる気分ではなかったのだが、明日どうなるか分からないのでとりあえず横になっておこうと思った。ロフトに寝るのは危なそうだなあ、もしもの時にはしご降りるの大変だ、と思い、車から寝袋を出してきて床に横になった。
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