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記事一覧
「肖像権」の侵害に関する判断基準は?
東京地判令5.12.11裁判所Web
1.事件のあらまし タレントXが、芸能活動に関し専属契約を締結していたYに対し、契約を解除する旨の解除通知書を送付し、その受領後である令和2年9月7日以降も、自社のホームページにおいて、Xの肖像写真等を削除せず、その掲載を続けていた。これは、本件契約解除の効力をめぐって別件訴訟が係属中であったためであり、別件訴訟の判決が令和5年4月18日に確定したことから、
「職業的専門家」の依頼者以外の第三者に対する不法行為責任(司法書士の場合)
最二小判令和2.3.6民集74巻3号149頁
1.事件のあらまし(1) 事案の概要
所有名義人Aの土地について、Aを売主・Bを買主とする「第1売買契約」、次いで、Bを売主・Xを買主とする「第2売買契約」、さらに、Xを売主・Cを買主とする「第3売買契約」が順次締結され、AからBへの所有権移転登記(以下「前件登記」という。)の申請(以下「前件申請」という。)、Bから中間省略登記の方法によるCへの
相続預金払戻請求にあたっての金融機関の対応とその結末
東京地判令和4.3.30金判1650号50頁
1.裁判の経緯 Bは、大韓民国の国籍を有し、従妹であるA(平成26年3月に死亡)名義で、Y1銀行・Y2銀行・Y3銀行に預貯金(本件預貯金1~8までの8口。預貯金4および5は現存しない。合計金額15,766千円)を有していた。Bは、平成25年3月に死亡し、Bの子X1・X2が、預金を相続したと主張して、Y1~3銀行に相続預金の払戻しを求めたが、Y1~3銀
トランスジェンダー女性に対する職場の女性トイレの使用制限
最三小判令和5.7.11裁判所Web
1.事案と裁判の顛末 経済産業省に勤務する国家公務員であるXは、生物学的な性別は男性であるが、幼少の頃からこれに強い違和感を抱いており、平成11年頃には性同一性障害である旨の医師の診断を受け、同20年頃から女性として私生活を送るようになった。また、Xは、平成22年3月頃までには、血液中における男性ホルモンの量が同年代の男性の基準値の下限を大きく下回っており、
マイナンバー(個人番号)の削除を求めた事例
マイナンバー(個人番号)利用差止等請求事件
最一小判令和 5.3.9裁判所Web
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91846
1.裁判の経緯 Y(国)が「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(いわゆる「マイナンバー法」。以下では、本判決の用語法に倣い、「番号利用法」と略称)に基づき特定個人情報(個