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「訪日外国人がもたらす冬季産業への効果」 WAmazing社長:加藤さんのお話

前回に引き続き、遅ればせながら「スキーフォーラム2019」のイベントレポ。今回はWAmazing社長:加藤さんのお話『訪日外国人がもたらす冬季産業への効果』です。

※前回の記事はコチラ⇓

WAmazingって?

WAmazingは、訪日外国人向けの、スマホで完結する旅行エージェントサービス提供会社とのこと。

一番わかりやすいサービスで言うと、訪日外国人に空港で無料のSIMカードを提供しているそうです。

・「無料SIMカード貸与」による日本旅行中の最適なインターネット接続環境を無償提供
・「旅行エージェント機能」による日本旅行中のコンテンツ予約・手配・購入支援サービス提供

こちらの記事がわかりやすかった。

社長の加藤さんは、元リクルートで、「雪マジ19」等のマジ部を立ち上げた人としても有名。

WAmazingのサービスもマジ部のサービスも、現地で必須に近いサービスをまず無料で提供し、それをフックにユーザーを惹き付け、その上にユーザーニーズに合った様々なサービスを提供するスタイルですね。かつ「地方を元気に!」という加藤さんの思いが込められていて、すごく素敵だなと思います。

ビジネスモデル:

訪日外国人の現状

さて本題です。
みなさんもご存知かと思いますが、訪日外国人観光客は年々増えており、2018年には3,000万人を突破しました。消費総額は、2018年4.5兆円だそう。

この金額がどのようなインパクトなのかというと…

日本人の国内宿泊旅行:15.8兆円 ⇨ 61%
日本人の国内日帰り旅行:4.7兆円 ⇨ 18%
日本人の海外旅行の国内消費分:1.1兆円 ⇨ 4%
訪日外国人の(日本への)旅行:4.5兆円 ⇨ 17%

上記のように、日本の旅行産業における総消費額の17%にあたるそうです。
結構な割合ですよね。。

ではそのうち、どのくらいの人がスキー・スノボをやって、どのくらいお金を使っているのかな?という点で、観光庁の面白い調査資料がありました(観光庁の訪日外国人消費動向調査)。

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観光庁発行の「令和元年版観光白書について(概要版)」P15より抜粋

⇨スキー・スノボをした旅行者:88万人が、1人平均:22.5万円使ったので、合計で約2,000億円(1,980億円)!!

まーすごい金額。

ただ、そもそも2018年の訪日客のうち88万人がスキー・スノボをしたって数字が、どのくらい信憑性のあるデータかわかりませんが・・・(笑)
白馬の一部のスキー場だけでも23万人だというし、上越市と妙高市のスキー場で26万人というデータもあるので、日本全体だともっと多そうな気がしますね。

※以上の数字や資料は、自分で勝手に集めたものです。講演で使われていたわけではありません。

今後は?

上記通り、今でも訪日外国人の冬季産業への効果はかなりのものだと思われますが、では今後どうなっていくか?

政府の目標によると、2030年に訪日外国人数は6,000万人、消費額は15兆円。

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12年後に人数は今の倍。消費額に至っては今の3倍以上。

ホントにそんなに行くのかな・・・?

と思いつつ、加藤さんのお話を聞いていると、十分可能性ありそうだなと感じました。

なぜならアジアの人たちが今後どんどん豊かになっていき、海外旅行に行ける層が増えていくからだそう。

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観光庁発行の「令和元年版観光白書について(概要版)」P3より抜粋

(上記資料も自分が勝手に持ってきたものですが)確かに世界的に海外旅行者はずっと右肩上がりで増えており、中でもアジア太平洋地域のシェアが出発・到着ともに増加しています。

(統計上、やはり遠くよりも近くに行く旅行者のほうが数は多くなるので、アジア太平洋地域発の旅行者が増えれば、同じアジア太平洋地域に行く旅行者も増えることになります。)

【日本への近さ】✕【国民の豊かさ】が、各国の訪日観光のポテンシャルを示しているそうで、すなわち日本に近いアジア諸国が豊かになるに連れ、訪日外国人がどんどん増える(可能性がある)ということ。…納得。

以下の資料は2018年の訪日外国人の国別内訳

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観光庁発行の「令和元年版観光白書について(概要版)」P6より抜粋

中国、韓国、台湾、香港がトップ4。
それぞれの国の日本からの距離と、国民の豊かさを見てみると…

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上のスライド写真ではわかりにくいですが、表にすると以下。

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やはり日本からの距離が近く、所得が高い国がそのまま上位に来ています(表の赤色)。中国は平均すると所得が高いとは言えないかもしれませんが、絶対数が多いので富裕層も多くいるのでしょう。

(それにしても香港、台湾の方の訪日率の高さはすごいですね。香港は人口約740万人で2018年訪日221万人、台湾は人口約2380万人で同476万人。それぞれ4人に1人、5人に1人くらいの比率で毎年訪日してるってすごくないですか!?もちろん実際には1人の方が何回も訪日されたりしているんでしょうが、それにしてもすごい。あと、今話題の韓国も比率的に結構すごい。2019年は激減しそうですが。。。)

スライドによると、今後の大きな発展が予想されるグループとして上表の黄色に色付けした3ヶ国(マレーシア、タイ、インドネシア)が挙げられていました。理由は以下。

経済成長に伴って個人旅行者の比率が高まる。マレーシア、タイでは2013年のビザ免除以来、観光・レジャー目的での訪日数が急増しており、今後インドネシアがこれに続くと見られる。

タイは2018年でも訪日人数113万人で6位ですが、まだまだ伸びる可能性があるということ。マレーシア、インドネシアも2018年の訪日人数は40万人強なので、それぞれまだまだ伸び代があり、今後とても期待できます。

また、中国も現在はまだ海外旅行においてグループ旅行の比率が高いようですが、今後の更なる経済成長で1人あたりGDPが増え、個人旅行者の比率が上がってくれば、14億人もの母数があるので非常に大きな伸長が望めそうですし、フィリピンもポテンシャルはすごく高い。

常夏の東南アジアにとっての「雪」

今後、訪日の大きな伸びが期待できる東南アジアですが、一年中温暖な気候で基本雪は降りません。また東アジアの中国などでもそれほど雪が多く降るわけではなく、スキー場でも人工雪が多いようです。

つまり、日本以外のアジア諸国にとって(特に天然の)「雪」は、とても珍しい。

日本では雪ってわりと日常ですよね。日本にいると全然意識できないのですが、日本は実は世界でも稀に見るスキー場大国なんです。

東南アジアの国々にとって雪は珍しく、そんな東南アジアから最も近いスノーリゾートはどこか?というと、カナダでもヨーロッパでもなく、日本になるわけです。(ニュージーランドも近いかな。ただ日本とはシーズンが逆ですね。)

近年、ニセコを筆頭に日本のスキー場にもインバウンドのお客さんが増えているといいますが、まだまだ始まりに過ぎず、今後10年以上のスパンで特に東アジアや東南アジアからの訪日スキー・スノーボード客がまだまだどんどん増えていく可能性がありそうです。

その他(温泉、お酒・・・)

本講演のテーマが冬季産業への効果ということで、訪日外国人の「雪」需要について話されていましたが、雪以外ではどんなコンテンツが訪日外国人に人気なのか?という点については、温泉とお酒を挙げられていました。

お酒に関してはお土産には重いとか、見学ツアーを組む際に菌が悪影響を受けてしまう、などの問題点もあるそうです。

ただ、温泉もお酒も(雪も)、日本(人)にとってはわりと当たり前のものですが、訪日外国人からすると非日常で、立派な観光資源になり得る。これってとても素晴らしいことだと思います。日本の日常を、魅力的に感じてもらえるってことですから。

(その他、MaaSについても言及されていたとメモにあるのですが、文脈を忘れてしまいました・・・w。課題としてだったかな?、期待していることとしてだったかな・・??)

まとめ

まとめますと、こんな感じでしょうか。

・訪日外国人はまだまだ増えていく
・特に東南アジア地域で増えていく
・東南アジアの最寄りの「雪」国:スノーリゾートは日本
・したがって、訪日外国人の冬季産業への効果は大きい(かつ今後、更に大きくなっていく可能性大)

受け入れ体制として課題も多いとは思のですがが、日本の観光立国としてのポテンシャル・可能性がとても高いことを感じることができました。

加藤さん、貴重なお話ありがとうございましたm(_ _)m

※次は(いつになるか全然わかりませんが)星野リゾート代表:星野さんのお話「これからのスノーリゾート」に続く…



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