漢方薬ってからだに優しくゆっくり効く?漢方薬のホント

最近はテレビCMでも漢方薬をよく見かけますよね?  

〇〇湯という名前でなく、一見普通の薬のように見えて実は漢方薬が入っているものも結構ありますね。

不妊治療や更年期障害をはじめ、最近では様々な症状に対して病院でも処方されることが増えています。

 西洋薬は副作用が怖いから、からだに優しい漢方薬の方が良さそう。 と思って選ぶ方も多いと思います。

 でも!ちょっと待ってください!

結論から言うと、

実は漢方薬は副作用がでる可能性も充分あるし、むしろ合わないものを飲んだら症状がひどくなってしまう事が多々あるので、とっても気をつけて欲しいものなんです!

いや、私は病院で処方してもらったから大丈夫。
漢方専門の薬局で出してもらったから大丈夫。
と、お思いの方も、この記事をよんでもう一度チェックしてみて下さい。

①漢方薬を選ぶのはとても難しいこと


まずご自分で市販の漢方薬を買う場合。

箱に書いてある症状をみて選んでいますか?漢方薬の場合、同じように見える症状でもタイプによって適するものは変わってきます。

風邪1つとっても、

熱タイプなのか寒タイプなのか、寒気があるのか高熱なのか、空咳なのか痰が絡むのか、鼻水はさらさらかネトネトか、胃腸症状はあるか、元々の体質はどのようなものか等…

細かいですが、多くの情報から現在の体の中はどんな状態かを判断し、それに適した漢方薬を選ぶ事が必要です。

頭痛もめまいも冷え性も更年期も・・それぞれに色んなタイプがあり、

西洋医学での病名をそのまま当てはめることはできません。

中国では中医師と呼ばれる漢方や鍼のお医者さんが問診、舌、脈の状態すべてをチェックした上で、その人ごとに生薬の割合を決めて処方を行なっています。

それを一般の方が自分はこれかなぁ?と選ぶのは実際かなり難しいし、市販薬は生薬の配合バランスは決まっていますので、自分の症状の程度と合わなかったりします。

効かないだけならまだ良いのですが、熱風邪なのに温める漢方薬を選んでしまったら、もっと熱があがって酷くなってしまった…なんて事にもなりえます。

②昔から変わらずにあるものの問題点

大きな問題点はコレです。

現在、販売されている漢方薬は昔から伝わってきたものをほとんどそのまま使っています。長年使われてきたものなら、安全性や効果が認められているんじゃないの?と思われるかもしれません。

確かに、適した漢方薬を選べば、とてもよく効いて私たちの体を助けてくれます。

しかし、昔から伝わってきたものをそのまま現代で使えるのか?というのが1番の問題の核となるところです。

昔の、栄養不良、良いとはいえない衛生環境、肉体労働が多い時代の人の体の状態と、

現代の、飽食で、運動不足、1日中座りっぱなしでPCとにらめっこしているストレス社会の人の体の状態

って、同じだと思いますか?

病気になる原因も、生まれ持った体のタイプさえも違って当たり前だと思いませんか?

それなのに昔からのままの漢方薬の配合が現代人に使われているのはちょっとおかしな話なんです。

昔の漢方薬は昔の人に合わせ、足りない力を補うような生薬の配合でした。

でも、現代人は足りないのではなく、食べ過ぎ呑みすぎ、運動不足で、余分なものが詰まって病気になっています。

そんな現代人が補う漢方薬をのんでも、もっと詰まりを起こしてしまい悪化してしまう事さえあります。

排水口のパイプがヘドロでドロドロに詰まった状態を想像してください。

そこにもっと水や食べカスが流れてきたらどうですか?詰まって水が流れなくなって、酷いと逆流して溢れてしまいますよね?

現代人に必要なのは、その詰まったヘドロを取り除くことなんです。

つまり、現代人が昔と変わらない処方の漢方薬をのむ事はそもそも適していないんです。

病院で出してもらっても、漢方専門薬局で出してもらっても、それは同じです。残念ながら多くは、昔と今の病気になる原因の違いを無視して、昔からあるものをこれまで良かったのだから良いはずだ、とそのまま流用しているからです。

出している方ももちろん悪意はないと思うのですが、この違いに気づいている方が少ないのが現状です。

③漢方薬は体に優しくて、ゆっくり効く?

漢方は自然に存在している植物などを利用して作られていますので、そういう意味では化学的に合成されたものよりは良いのかもしれません。

でも自然のものだから安全安心だ、という訳ではありません。自然界にも毒はありますし、アレルギー反応を起こす可能性だってあります。

そして、漢方はゆっくり効くから長くのんで下さいね。

ってよく聞きませんか?

これもちょっと違います。漢方薬はよく効きます

症状によっては1回で効くものもあるし、長くても1〜2週間のめば効果は何かしら出てくるはずです。もう3ヵ月ものんでるけど中々良くならなくて…という話をよく聞きますが、それは体に合っていません。

それだけのめばとっくに効いているはずなんです。変わらないというのは、合っていないか、むしろじわじわ悪化させてしまってる可能性も…。

漢方薬の副作用ってあまり広まっていないのですが、よく話を聞くと漢方薬をのんだら気持ち悪くなって吐いてしまった、動悸がしてきたので怖くてやめた、なんて話がゴロゴロでてきます。

なぜか漢方薬は優しい、ゆっくり効く、という固定概念が浸透してしまっているので、あまり気づいていないだけなんです。

まとめ

もし今、漢方薬をのんでいるという方、これまでのんできてご自分の状態はどうでしょうか?長くのんでるけど変わらなかったり、胃の痛みには効くけど、他の不調は治まらないんだよな…とかありませんか?

漢方薬は色々な生薬が入っているので、ある生薬は効いてくれてるけど、他の生薬が裏目に出てしまっていてトータルでは体のバランスがかえって崩れてしまってる事も多いです。

のむのをやめたら全体に調子が良くなったという事が結構あります。

私は鍼灸師として、何度も誤った漢方薬を飲み続けてきた患者様たちに出会ってきました。それによって余計に体調を崩してしまっていたり、次から次へと不調があらわれる複雑な状態になってしまっている事にとても危機感を感じています。

漢方薬の現状について、もっと多くの方に知っていただきたいと思い、今回の記事を書きました。何かこれを読んでもう一度考えてみるきっかけになれば幸いです。

ちなみに。じゃあ現代人にあう漢方薬はないの?

と思われるかもしれませんが、残念ながら今のところ新しい現代人に合わせた漢方薬というのがありません。

鍼治療はその点、補う、取り除く、という調整は自由に出来るので便利な特性があります。私は鍼灸師ですので、体の詰まりを取り除く鍼治療を行なって、良い結果が得られています。(鍼灸業界でもまだまだ補う治療をするのが主流のままなので、そこも業界の課題です)

もちろんご自身で食事、運動、睡眠、そしてストレスケアを行うことも当たり前ですが有効です。

何かを飲んだだけで健康になる、というものはありません。(サプリメントや健康食品しかり…)まずは生活習慣の改善、ご自分の力だけではどうにもならない時は鍼治療などの力を借りるのが今のところは良いかと思います。

現代人に合わせた漢方薬の開発がされることを切に願っています。

長文になりましたが、お読みいただきありがとうございました🌿

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