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こさじ一杯の余裕

我が家では、ふだん、夫婦でそろって家のことや子どもたちのことをしている。おたがいに「自分ばっかり」と思ってしまう日もあるけれど、冷静になれば、わたしたちが、わたしたち家族というちいさな群れを維持するためにそれぞれ果たしている役目はほぼおなじくらいで、とりたてて不満を言うほどのことではないのだと思う。

ただ、いまの平穏は、ぎりぎりのところで保たれているのだな、という感覚はある。
「自分ばっかり」ではないけれど、なにかの歯車が狂うと、ぜんぶがめちゃくちゃになってしまうような予感。
それは例えば夫が仕事で朝から晩までいない、しかも保育園もない日。

たとえば今日。

***

今朝は、2歳の次男が朝6時におきた。
わたしはちょっとつかれていて、いつもなら次男が目覚めるとすぐにいっしょに階下に降りて朝のしたくをはじめるのだけれど、今日はなかなか起きあがれなかった。
なので、ねむったふりをしていた。

つめたい空気とあたたかな布団のはざまで、いい気になってごろごろしていたら、次男がわたしのiPhoneを「はい」と持ってきた。それに気づかないふりをして寝続けようとしたら、それがわたしの顔の上に落下。
iPhoneの角がくちびるにあたって、おおきな血ぶくれができた。

そのあと諦めて階下におりて、のんびり朝のしたくをして、こどもたちといっしょにチョコレートとナッツのパンを切って食べて、牛乳を飲んだ。
朝ごはんが楽ちんにすんでラッキーだなあと思っていたら、いっしゅん目を離したすきに、次男が牛乳をぜんぶこぼした。

気をとりなおして部屋の掃除をして、食器をあらっていたら、次男がキッチンとリビングの間にとりつけたゲートを乗り越えるすべを発見したらしい。なんど追い出しても乗り越えてくるのであたまにきて、乗り越えられないようにゲートを補強しようと思い、こどもたちとくるまでホームセンターに行った。
そこには幼児が乗ることのできる、くるま型のカートがあって、次男はよろこんでのった。
長男は、「いいなあ、ふうくん(次男)だけ歩かなくてよくて。」とぶつくさいっていたけれど、平和に買い物をしていた。のだけれど、ゲートの高さを追加するためのもろもろを物色していたら、状況をさっしたのかなんなのか、次男がカートを抜け出しててこてこ歩いて行ってしまい、ふたたび乗せようとすると嫌がるので、それ以上買い物をするどころではなく、肝心のものを買わずに帰宅。

お昼ちかかったので、ひさしぶりにちゃんぽん麺をつくった(侵入してくる次男に妨害されながら)。

ごろごろした野菜があんまりすきではない長男まで「おいしい、おいしい」と食べた。我が家のまえの畑で無農薬の野菜をつくっているおじさんにもらったキャベツがほんとうにあまくて、おいしくて、いもむしもたくさんついていたけれど注意深く取り除いたのであんしん。おいしくたべて、さあ、次男の昼寝だ!と思ったのに、なかなか眠らない。

ベッドまで行っては「やーめた」といって逆戻り。
だいすきなにーにに、「おひるねしてから遊ぶと、たのしいよ!目がさめて、たくさん動けるよ!」と説得されても「ない!(イヤ!)」と拒否。

しょうがないのでベッドで寝かせることをあきらめて、ひさしぶりのおんぶ紐でおんぶしながら、そのうち寝るだろうと長男の工作をみてやっていたら、マラソンの給水所で水をうけとるかのようにさりげなくクレヨンの箱をもっていた次男がぜんぶ床にぶちまけた。

と、どうじに、長男の工作でつかっていたちいさなビーズもこぼれた。

***

今、やっと次男は眠って、長男はわたしのそばでわたしのiPhoneを使って、すこしだけマインクラフトをしている。

わたしは長男におねがいして、すこしだけnoteをひらいて、なんどか声を荒げてたった2歳の次男を怒ってしまったことを懺悔している。

長男が2歳のときって、どんなだったかなあ。

正直なところ、あんまり記憶がない。あんまり記憶はないけど、写真や動画でみる2歳の長男は、みんなとってもかわいい。

それがすべてのこたえのような気がしている。


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