貯金するのは“No”の選択肢を持つため
私が、大学時代に読んだ新聞記事で、印象に残っているものがありました。
取り立ててすごい内容ではありません。ごくごく常識的な内容の記事です。
「社会人になったら、月々の給料日に、積立定期預金を設定し、積立てをしなさい。」
私は、その教えは至極もっともなものと感じましたので、新人研修で説明のあった財形貯蓄・社内預金について、即申込みをするとともに、初給料日に給与の振込額を確認すると、直ちに、振込先の銀行に行き、給料日に引き落とされるように設定した月々1万円の積立定期預金を契約しました。
そして、それほど日を置かず、会社の本体事業である生命保険にもそれなりの保障金額で加入したのは言うまでもありません。
今、思うと、いずれも金利水準はすこぶる良かった訳ですが、私には、金利水準以上に、「貯金とは、まずは“元本”を増やすことだ。」という認識がありました。
そのため、給料が増えるごとに積立額を増やし、また、ボーナスはほぼ全額を突っ込んで行ったところ、数年のうちに、積立定期預金の残高が、1,000万円に達しようとしていました。
※銀行に就職した友人に、「積立定期預金で、1,000万円の残高というのは、かなり珍しい。」と言われました。
その間に、私は、家族の不幸に立て続けに見舞われました。
社会人になって2年目には父を亡くし、その3年後には母を亡くしました。
どちらもがんでしたので、長い闘病期間がありましたが、特に、母の時は、私は、精神的にもつらく、身体も疲れ切って、職場に行くことが困難になりました。
その時点で、たまたま就業規則に創設があった介護休職・介護時間短縮をうまく活用し、介護による勤務時間短縮→休職と、就業規則に則ったお休みをいただきました。
※人事部によると、ここでいう「介護」とは、今やみなさんもご存じのとおり、「老齢にともなう介護」を想定しており、がんなどの闘病に伴うものではないとのことでしたが、使えるものは使っちゃえ、という切羽詰まった感じでした。
その時、退職するつもりはさらさらありませんでしたが、休職するにあたり、自身の定期積立預金などの経済的な蓄えが、心の支えになったのは言うまでもありません。
現在、積立については、積立定期預金の他に、さまざまなバリエーションがあり、私も行っていた財形貯蓄や社内預金(当社では、社内預金は現在は廃止されています。)、はたまた、最近で言うと、NISA(非課税投資制度)、iDeCo(個人型確定拠出年金)、積立投資信託など、やれるものは全部やりました。
月々、決まった給料のもらえるサラリーマンにとっては、積立貯蓄は資産形成的に本当に相性がいいのです。
こういった積立貯蓄は、みなさんに危機が訪れたときに、本領を発揮します。
先に、両親の闘病・死去にともない、私が介護休職・介護時短を取ったと言いましたが、その間、当然、給料は減りますし、また、普通のサラリーマンの感覚ならば、その追い詰められ感も半端ではないでしょう。
でも、私は何とかかんとかしのげました。
これは、一定の経済的蓄えという心の支えになるバックボーンがあったからだと思うんですね。
あのとき、何の蓄えもなかったらどうなっていたでしょう。本当に空恐ろしいです。
「私は、休む。」という「“No”と言える選択肢」を持てたのは、かえすがえすも、経済的蓄えがあったからだと思うんですね。
みなさんも、貯蓄がみなさんをマジで救うという事実を認識された方がいいでしょう。