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脳MRIから判る認知症予防に必要なこと!

 職場の人間ドックのメニューの中には、数年に一回、脳ドックと言って、脳のMRI画像診断を行うものがあります。

 私は、50代後半ですが、特段、脳内に異常は見当たらないようです。

 公的介護保険への加入は、40歳からですが、人によっては、40代・50代から、若年性の認知症になる人もいるようですから、脳ドックの結果も気にならないことではありません。

 このたび、『健康脳 脳MRIから見えてきた認知症予防』渡邉啓太著・マイナビ新書刊という本を読みました。

 氏は、京都大学特定准教授の医学博士で、放射線科医として、脳MRI研究に取り組まれており、さまざまな学会等で、脳内研究にかかる表彰を受けられているとのことです。

 その脳内研究の第一人者が、一般向けに易しく、ただし、世界中の論文からエビデンス(医学的根拠)のあることを記したもので、世間にありがちな“なんちゃって”な論拠の薄い記事ではないものです。

 その記事の中では、判らない、または、どちらとも言える中立的なことは、そのままの書きぶりで記載していますから、逆に信用がおけると思えます。

 その記事の中で、老年期における脳萎縮の個人差では、遺伝的・先天的な影響は大きいものの、海馬などの特定の脳部位においては、後天的な取組みにより、それなりに脳の萎縮を抑えることが可能であると判ってきたというのです。

 脳MRIを利用して、人や動物などの脳を調べることができるようになる以前は、脳は簡単には変化しないと考えられていました。

 しかしながら、MRIを用いた研究が進むにつれて、新しく何かに取り組むと、光学顕微鏡や電子顕微鏡で見える神経細胞間のシナプスといったレベルではなく、MRIで計測した脳容積というもっと大きなレベルで脳が変化するということが判って来たというのです。

 しかも長年かけて変化するのではなく、多くの研究は、数か月の期間のトレーニングでの脳の変化を報告しており、中には、わずか2時間のトレーニングで脳が変化したという報告もあるのだそうです。

 この脳が変化する性質は、学術的な用語では、「神経可塑かそ性」と呼ばれています。

 このトレーニングには、次のような大きく二つのアプローチがあります。

①勉強
 高等教育を中心に学校教育が人生にとって重要であるか否か、数学の虚数や国語の古典など日常生活において使用することのない知識を学ぶことに意義があるのか、といったことは度々議論になっていますが、学校教育全般として見た場合、学校教育を受けていた年数は、老年期における認知機能や、ワーキングメモリ、エピソード記憶と密接に関係しており、教育年数が短いことはアルツハイマー型認知症のリスク因子であると考えられているとのことです。
 ※ワーキングメモリ…何らか課題遂行中に情報を一時的に保存する認知機能で、複数の作業を同時進行させることに関わるもの。
 ※エピソード記憶…経験した出来事に対する記憶力。

 なお、研究では、読書する、新聞を読むなどの知的活動が教育年数と老年期の認知機能の関係に影響することが報告されています。
 ※つまり、知的活動が多いと、教育年数が長い人と同じように、老年期の認知機能が高い傾向にあるということです。

②運動
 これには、ウォーキングなどの有酸素運動と、スクワットやダンベルなどの筋力トレーニングがあり、どちらにも老年期における脳容積の増大と脳萎縮の改善が期待できると考えられているのです。

 こうしてみると、先天的・遺伝的なことにとらわれることなく、後天的な努力を行うことが重要だって判りますね。Let`s try!!

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