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倉知淳『月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言』を読んで

 手抜きの読書感想文みたいなタイトルですね。

 猫丸先輩を知っているだろうか。あ、知らない?うっそだー。

 倉知淳さんの短編に登場する、言葉を選ばずに言うとクソ変人である。童顔で低身長、それこそ猫のように丸い目にふっさりと垂れた前髪。そのくせやたらおっさん臭い動作。端的に言うとウザい性格なんだけど、めちゃくちゃ頭が切れる。

 そんな不思議な魅力のある人物である。

 倉知淳作品、特に猫丸先輩シリーズはかなりの量読んでいるんだけど、魅力はずばり軽妙さである。

 猫丸先輩が事件(あるいはちょっとした疑問)に首を突っ込み、時には頼まれ推理を披露する。そのときの捲し立てる感じというか、早口なんだけどすらすらと話し続けるというのが活字で表現されているのがすごいと思う。

 猫丸先輩、基本的に結構ウザいんだけど推理が的を得ているし、大事なところでいい人になる。変人なんだけどちゃーんと人間なんだよな。

 そんな猫丸先輩の最新作です。

 そしてもちろん推理小説としてもめちゃくちゃ面白い。いたるところに伏線が転がっていて一行も無駄にできないし、コメディの要素が解決のきっかけとなることも多い。笑っちゃうようなやり取りの中で大事なヒントがあるって結構書くのむじいんだろうなと思ったりする。

 あと結構裏切られる。犯人に?いや猫丸先輩に。普通に彼性格が残念なので推理中にこっちをだましてくるからよくない。中身まで猫。

 そんな感じである。

 この『月下美人を待つ庭で』は猫丸先輩の最新作。日常のちょっとした不思議に調子よく妄言(とタイトルで言われているけど立派な推理)を披露していく。全五編の短編集。おすすめは最後に収録されている表題作です。全体的に白昼夢的な綺麗さがある。あの人だけはいつも通り。

 ちなみに猫丸先輩の話は連続性があまりないので過去作を読んだことなくてもいきなり本書を読んでもOKである。ぜひ。

https://www.amazon.co.jp/dp/4488421261



やっべ全然ふざけてない


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