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ゴジゲン「雲のふち」観てきた
2年半ぶりというゴジゲンの本公演『雲のふち』を観てきた。
冒頭から何度も出てくる映画の話、ミニシアター系の洋画ファンは「アレだね」とすぐわかると思います。
わちゃわちゃ感が控えめで、松居大悟さん曰く「ひき算で作った」作品だそうなので、長年のゴジゲンファンの人は少し戸惑うかも。でも「『愛だろ、愛』なゴドーを待ちながら」って感じで、私は好きでした。
ベケットの『ゴドーを待ちながら』には「二幕の喜悲劇」という副題がついてるのですが、『雲のふち』も観る人によって、打ちのめされるような悲劇にも、くすくす笑ってしまう喜劇にも、何かが起こりそうで起こらない不条理劇にもなり得るのでしょう。
先日『進撃の巨人 劇場版ファイナル』を観てきた時にも思ったんですが、隣の席にいた若い女の子が号泣してまして、私は「このはぐらかしてくる照れ屋さんなとこが、進撃のいいとこなんじゃん…」と若干引いてたのですが、思えば私も10代20代の頃には第三舞台とか観て号泣してたので、刺さり方が人それぞれ、年齢や経験によることはもう当たり前なんです。で、そういう余地がある作品ほどいい作品だと思う。
踊る大捜査線スピンオフ『室井慎次』二部作の第二部がSNSでけちょんけちょんに言われてるのは、あれが『北の国から 室井慎次編』だったからではなく、やっぱあのラスト手前の空撮のとこの無線通信のセリフと演出が「ちょっと黙っててくんないかな感動の押し売りすんなや」だったからだと思うんですよね。私が監督だったら吹雪の中に消えていくとこでカット、エンドロールにします。おまけも要らん。
話が逸れましたが、コロナ禍を経た演劇人のリアルと、オジさんオバさんを自覚しはじめる年齢特有のナニカと、客演の大渕夏子さんの透明感がもたらすファンタジックな雰囲気が程よく混ざり合って、生の舞台ならではの作品になってたと思います。
12月1日まで、あと3ステージあるので、下北沢近い方は是非。
http://5-jigen.com
下北沢、駅の工事終わってから降りるの2回目ぐらいで、そもそも方向を見失いがちな上に、最初ぼーっとしてて本多劇場にいっちゃって「やってないじゃん!」と焦るなどしたので、行く方は「駅前劇場」だってこと覚えといてくださいね。
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※ちなみに『室井慎次』二部作の第二部に関する私の感想はこちらです。みんなもっと老けたいしだあゆみの素晴らしさについて語ろうぜ!