【読書感想文#4-1】世界遺産ビジネスを読んで~前編~
皆様いかがお過ごしでしょうか?
新年に読書感想文を書くという目標を
書いておりました。
世界遺産検定の試験が終わってから、
暫く経っており、以前世界遺産検定の勉強で
読んでいた本を皆様に紹介したいと思います。
今回紹介する本は
マイスターの予想問題と答案の作成に
大変参考になりました。
今年から世界遺産検定マイスターを受験しようと
考えている方には強くおすすめしたい
一冊です。
ただしこの本は2025年に初版発行された本なので、時事的な情報は古いところがあります。
そうした部分は各自で最新のものに
アップデートしてください。
ここからはマイスターの問題に繋がりそうな
トピックスをいくつか取り上げて深掘りしていきます。
【① 遺産保護の自己目的化】
世界遺産のニュースというと、多くは新規で登録された案件を取り上げることが多いです。しかし世界遺産について定例で会合を行う世界遺産委員会の大半は、すでに登録された世界遺産の保全状況のモニタリングについて審議されています。そこで重大な問題がある案件は「危機遺産」として登録されることもあります。最近の世界遺産委員会では、観光地として有名なグレートバリアリーフ(オーストラリア)等が議論されています。
世界遺産検定を勉強されている方だとご存じな方が多いですが、過去には世界遺産リストから抹消された場所が存在します。
ドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」は、エルベ川沿いのドレスデンという街は美しい景観が評価されて世界遺産になったのですが、
ヴァルトシュレスヒェン橋を建設するにあたり、建設計画段階でユネスコは世界遺産抹消の可能性を警告しました。ただ地域住民の投票により橋の建設を決定し、ドレスデン・エルベ渓谷は世界遺産リストから抹消されました。
ただこの橋がなかったころ、市内の交通渋滞が問題となっていました。この橋は川の右岸の工業地帯と左岸の住宅地をつなぐという重要な役割を担っていて、地域住民はその橋の建設を望みました。
都市の開発と遺産の保護は必ずついてくる問題です。無計画な都市開発や、周囲の景観に溶け込まない建造物を建てることはもってのほかですが、地域住民が望む開発、地域課題の解決のための建造物の建設によって世界遺産から抹消されるというのはいかがでしょうか?
もちろん橋を架けるのではなく、トンネルを掘るという方法も取れますが、莫大な予算がかかるものです。開発方法にまでユネスコは介入できるのでしょうか?
筆者はそこで以下のようなことを指摘します。
私は世界遺産を守る人である地域住民の望む方法を取らざるを得ないと考えております。そのやり方や決め方に科学的、客観的なものであること、顕著で普遍的価値を保持するための方法を提供することがユネスコや諮問機関であるイコモスができることではないかと思います。
もちろん自然遺産の場合や既存設備の建て替えだと事情は大きく変わります。
答えはない問題ですが、自分ならどう考える?という習慣を持つことと、価値基準をもつことをマイスター試験をうける方々には持ってほしいなと思います。
【最後に】
今回はここまでにして、次回はその続きを書いていこうと思います。
世界遺産検定を受ける方はもちろん、受けない方でも興味深く読み進められる内容かと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。