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世界遺産検定 マイスター 第3問対策⓪(!?)

 お久しぶりです。仕事やら遊びやらで更新をさぼってしまいました・・・
 世界遺産検定の勉強も少しおろそかになっておりました。12月に向けてあと2か月。改めて心機一転巻きなおしてまいります。

 とはいえマイスターの第3問というのは結構厄介で、【ちゃんと下調べ】をしないと書けないものばかり・・・ということで、今回は第3問の概要や戦略を書く前に今の自分の知識でどのくらい書けるものかチャレンジしてみました。
※第3問の対策やアプローチは次回ご紹介しますのでお楽しみに。
では、今回想定した問題を提示します。

【問題】

 アメリカ合衆国のユネスコ脱退を踏まえて、ユネスコの文化事業と国家間の政治問題の課題とその解決策について、ユネスコや他の締約国の動きをあげながら1200字以内で論じなさい。

【考え方】

 この問いは以下の内容を基に出題されたものと筆者が想定して、問題を作ってみました。
米国とイスラエル、相次ぎユネスコ脱退発表 - BBCニュース

 当時のドナルド・トランプ大統領が表明したことで世界で話題になりました。ただ2022年現在では以下のようなニュースも出ており、今後も世界遺産マイスターの問題に出題されるトピックとして考えられます。
米、ユネスコ復帰へ意欲 国務長官、中国主導を警戒 (msn.com)

●世界遺産基金不足の問題

 アメリカの脱退でユネスコが直面したのは世界遺産基金不足です。世界遺産基金とは世界遺産保護のために用いられる信託基金です。(簡単に説明した用語は以前まとめた資料があるのでこちらをご覧ください。)
その基金は例えば文化遺産の保護に活用されています。こうした活動が本来ユネスコが行うべき世界遺産を保護・保全し、後世に伝えていく国際的な協力体制が揺らぎかねない。

●ユネスコを取り巻く政治的な問題について

 少し前ですが、こんなニュースを耳にした方はいらっしゃるのではないかと思います。

 ユネスコを政治利用していると日本が中国を非難している案件ですが、すでに南京大虐殺は世界の記憶として登録されております。日本人として許せぬ事案ですが、これが世界の真実かと思うと世界遺産を学ぶものとして考えさせられる事案かと思います。
 ただこの経験を基にユネスコ改革に乗り出す日本は以下のような動きを見せており、今後もユネスコの政治利用に対する各国の動きは随時キャッチし続けるべきものです。

このようなニュースを基に回答をまとめてみました。

【回答】

 2011年にパレスチナがユネスコ加盟国になったことを受けて、2018年にアメリカ合衆国とイスラエルがユネスコを脱退した。そのニュースが世界中で報じられ、多くの知識人やメディアは自国第一主義や世界からの孤立と次々と批難していたが、昨今のユネスコや世界遺産にかかわる政治問題を一種の腐敗として捉えなおす必要があると考える。その考えに至る例とそれを受けた今後の世界遺産の登録や保護のあり方を論じる。
 まず資金不足による活動への影響があげられる。ユネスコの財政規則に基づき、締約国は2年に1度拠出金を支払う義務がある。当時最大の拠出国であったアメリカ合衆国がユネスコ脱退によって分担金が著しく不足した。それにより世界遺産の保護・保全に活用される世界遺産基金が不足した。例えば、カンボジアのアンコールワット遺産など、世界各地の文化遺産で資産の修復や修理に使われる資金が不足することで、世界遺産保護の活動のスケジュールに遅れが生じうる。本来有するべき完全性が失われかねない状況に陥る世界遺産が出てくることが、人類共通の遺産として後世に伝えていく国際的な協力体制の基に成り立つユネスコの理念と遠く離れた状況といえる。
 次にユネスコを政治利用する例も多くなっている。例えば中国が2015年に提出した南京大虐殺関連資料について、犠牲者の数や虐殺自体の真偽など今でも議論されている事案であるにもかかわらず、世界の記憶として申請された。日本政府は、ユネスコの政治利用として中国の申請を批難したが申請が通った。この時の経験を踏まえて、日本は世界の記録の申請制度の改革案を2021年に申請し、ユネスコの執行委員会で承認された。ただ国際的に議論が続いている事案をユネスコを利用し、一方的な見解や検証不足な資料が公式的な『事実』として世界中にまかり通るケースが今後も発生することが考えられる。
 ユネスコは長年国際政治のパワーバランスの影響を受けやすいとたびたび指摘されてきた。政治事情によってユネスコで財政不安が生じたり、ユネスコや世界遺産登録における政治的なロビイングや一方的な主張が横行したりすることで、世界遺産を保護・保全する取り組みが蔑ろになっているのでは筆者は危惧する。そのために今後の世界遺産保護や登録の方向性を提案する。
 例えば、世界遺産の観光地化によって観光客から世界遺産エリアに入る際の入場料の徴収や、世界遺産の公式的な画像や映像などのコンテンツでNFTを発行し、コンテンツの流通の際に生じるロイヤリティを遺産保護・修復に利用するなどの自律的な遺産保護・保全体制の確立をユネスコが各国に促すことが可能ではないかと考える。また世界遺産や世界の記憶の登録の方向性を、本来の後世に残すべき貴重な遺産の破壊や消滅から守るためにも、危機遺産や危機遺産に陥る可能性のある遺産・資産を重視した登録方針に変更すべきではないだろうか。
(以上1198字)

【最後に】

 いかがだったでしょうか。結構骨のある問題を自分自身に対して作ってしまい苦労しましたが、本番でこういう苦労をしないようネタ作りをしていく必要があると理解しました。
 次回は第3問の概要と戦略を述べたうえで、想定問題に対するアプローチと回答例を載せてまいりますのでお楽しみに~

 最後に回答例にも書いたアンコールワット遺跡のきれいな写真を使わていただきました。ありがとうございます。

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