謙虚に、子どもから学ぶ【講座メモ】元筑波大学附属小学校副校長 田中博史先生
今回は元筑波大学附属小学校副校長の田中博史先生による授業実践講座を受講したので、メモとしてまとめます。テーマは「子どもの困り方に寄り添う算数授業と学級づくり」でした。↓
子どもが何に困っているのか。その困りにどう寄り添っていけばいいのか。担任を持っていた頃に悩んでいた僕にはぴったりのテーマでした。
「困り」を指導に生かす
みなさんは、子どもが間違った答えを導き出した時、どのように考えますか?
「あんなに教えたのにまた間違ってる…」
「この子にはこの問題できないのかも…」
田中先生は子どもの誤答を
教師の指導方法を見直すために使う。
とおっしゃっていました。
さらに、「なぜこの答えに辿り着いたのか」ということを考えていくことで、その子の思考過程が見えてくる。そして、「困り」が見えてくる。子ども、前担任、親や地域のせいではなく、その子どもが接している大人が謙虚に自分のしてきたことを振り返ることが大切。そしてこれが本来の評価のあるべき姿だと。
最近「問い」というキーワードが重要視されていると思います。「どうして?」「なぜ?」「あれ?」「また同じだ!」などの問いは教師が子どもたちに求める理想の問いなのかもしれません。しかし、子どもたちはその理想よりも、もっともっと手前の段階にわからなさ(困り)を抱えているかもしれない。だから、それを自然に表現できるように環境を整えていくことや誤答から学ぶ教師の態度が大切なのです。
この冒頭部分だけでも「この講座を受けてよかった」と思いました。もっと目の前の子どものことを見つめ、困りを少しでも減らしていきたいと思いました。
イメージ化
問題場面がイメージできない子たち。原因は公式や言葉の式を早すぎる段階で教えていることが原因なのかもしれません。
例えば、
分速1kmで走る車は2時間でどれだけ進むでしょう
という問題があったとします。この場合、問題場面のイメージができていないと、「道のりは速さ×時間で求められるから、1×2=2。だから2kmだ!」という答えを出してしまうことがあります。
この問題をイメージ化しやすいよう、教師の手立てを変えてみます。
T「分速1kmで走っています。ところで、分速1kmって速いかな?遅いかな?」
すると、
「1分で1000mってことは10秒で100m走る人よりも速い?」
「10秒で100mってことは60秒で600mやな」
「めっちゃ速いやん!じゃあオリンピック選手よりも速いってこと?」
「じゃあこれって人のことじゃないのかな?」
と続く…
このように分速1kmについて、かなりイメージを膨らませることができました。ここまでイメージができてきたら、先程の誤答のように2kmと答える子はいなくなるはずです。(1分間で1km進む車が2時間で2kmしか進まないのはおかしいと気づくはず)
言葉の混乱
続いては言葉の混乱が子どもたちの困りをまねいているという話。
例えば、「底辺」という言葉。この言葉の中には、「底(そこ)」という漢字が含まれているため、図形の向きによっては「え、底じゃないやん」となってしまう。
他にも、
「高さ」→「いや、この図形高くないやん」
「混み具合」→「混んでないやん。むしろ空いてるやん」
このように、公式や言葉の式における言葉を日常語と混在して捉えてしまうことによって、わからなさ(困り)が生まれてしまうというものでした。これも、公式や言葉の式を早すぎる段階で教えていることが原因なのかもしれません。公式や言葉の式までにどんな経験をさせていくのかを考えたり、子どもたちのイメージしやすくなる言葉を選んだりすることが大切です。
表現力を高めるために図を使う
「先生、図使わないとあかん?」
こんな風に言われたことがあるという先生や子どもの時にこう思っていたという人は、多いのではないでしょうか。先生は子どもたちに図を使う良さを感じてほしいと思っているのに、子どもたちにその価値が伝わらない。田中先生は「その原因は、それまでに結果を求めるような授業ばかりだったから」だと指摘していました。
「問題を見て、答えが出せればいい」
(意図せずとも)こんな価値観を子どもたちに伝えてしまっている授業を子どもたちが受け続けていたら、問題を見てサッと答えを出すことができる子たちにとって、図を使うことは面倒なだけです。だから、答えを求めることを目的とせず、表現力を高めることを目的とした問題を扱うことも経験させることが大切です。
例えば、文章と絵を対応させて線で結ぶ問題を行い、さらに絵を式と結びつける問題に発展させるようなプリントやゲームを行うといったものです。(田中先生が監修されているものがあるので最後にリンクを載せておきます)
これらのプリントやゲームは計算して答えを出すことが目的ではなく、読み取ることが目的です。楽しみながら何度も読み取る練習をしイメージ化する力がついてくると、問題場面を図に表して整理することの良さが感じられるのかもしれません。
ひとりごと
ここまでの内容は今回の講座の前半部分です。後半部分は力尽きてしまったのでまとめません…。
印象的だった場面は前半部分の最後。
「先生の発問に対してすぐに挙手する子に注目してしまいがちだけど、その子たちはきっと困っていない。むしろわかっているのを自慢したいという気持ちもあるのかもしれない。だから、まずはすぐ挙手できない子たち(困っている子たち)に注目してあげたい」
と話をされていました。
僕自身、すぐに手の挙がらない子どもたちに注目しようとしてはいましたが、ついつい挙手した子達に答えてもらおうとしてしまうことが多々ありました。もっと子どもたちの困りに寄り添った関わりができるようになりたいと思いました。
初めて田中先生の講座を受けましたが、受講者の方たちへの話しかけ方などから温かさが画面を通して伝わってきました。田中先生の新著『子どもの「困り方」に寄り添う算数授業』でさらに理解を深めたいと思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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ぶっく📚
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