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草木自身の持っている力に、そっと人の手入れが加わって

Oct 30, 2005(楽天blogより)

草木自身の持っている力に、そっと人の手入れが加わって

野口体操は月四回、第五週はお休みです。
(祝祭日のある月は五週目と振り替え)

ですから、日曜日の雨上がりの朝の散歩、という幸運に恵まれることはそうはありません。
車を避けて、路地裏を中心にゆっくり散策しました。
お屋敷、アパートを問わず目に付くのは、
手入れの行き届いた庭の設え、玄関周りの草花の鉢植えです。
季節の花は決まっているのに面白いほど個性的で、そこに住む人は
どんな人だろうと思ってしまい、ちょっと室内に目をやると向こうも
こちらを気にされていて、微笑んで会釈などしてもらえました。

木の顔色も一本一本違います。
若木は心細げで先の姿を見せず、今を盛りの木は何と
たわわな緑が誇らしげです。
漁業を生業としていた父を思わすような肌色で、
母のように腰の曲がった老木が、
それでも新芽を見せて華やいでいる姿に圧倒させられました。
見ると杖をつくように当て木がしてありました。
草木自身の持っている力に、そっと人の手入れが加わって
更に逞しく、美しく生きていました。

野口三千三にとって庭は一つの宇宙空間であり、
宇宙との交信の場でもありました。
野口三千三がそこで交わしたことばを次の授業で聞かせて貰い、
からだの動きで確かめる・・・最高の喜びでもあり、楽しみでした。
その日は朝早く起きて、心して出かけたものでした。


先生の庭の手入れも見事でした。
水は充分に与え、草むしりなどはしませんでした。
草木たちは自然にバランスを取り合っていました。
殺虫剤なども使いませんでした。
害虫には「勘弁してくれなあ」と声を掛け、
必要なだけ箸で摘まみ取って、後は残していました。
道行く人は必ず足を止め、小さいけれど立体感のある
美しい空間に魅せられたのでした。


「体操」とは、植物の新芽を生命の象徴とし、
 大自然のすべての存在が、付き合い繋がり合い
 連(列・並)れ合い・伝え合い・操り・操られ
 釣り合う(調和という関係)…そのような在り方を、
 貞(き)き続ける敬虔な生の営みである。

  野口 三千三


*(2023年現在、クラスは火曜日のみ)。

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