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ふと気が付くと、谷川俊太郎さんの言葉はいつもそばにありました
0.初めての授業は「詩」の授業
初任の4月、まだ仮説実験授業もたのしい授業もしていなくて
毎日の授業準備に追われているのにも関わらず、
一体何をしていいかわからずに過ごしていました。
そんな私に初めての授業参観が訪れました。
先生になって、授業をする立場として臨む授業参観。
これまた何をしていいのかわからず、
「…わたしどんなふうに授業をしたらいいんでしょう…」と、泣きながら先輩の先生に聞いていました笑。
その時に、「詩を楽しく読んだらいいよ!」と教えてもらい
谷川俊太郎さんの本『ことばあそびうた』から詩を選んで
その詩で授業をしたことがあります。
グループで読んだり一斉に読んだりして、
授業をしました。
この時は必死でした。授業でやった詩もどれだったかを覚えてないくらい必死。
しかし、「詩っておもしろい。言葉遊びの詩もたくさんあるんだな」と思いました。
1.「おおかみ」の授業プラン
そんなわけで初任の頃は、右往左往の毎日。
ですが、同じ学校にいた飯田信弘さんにたのしい授業や仮説実験授業を教えてもらい、だんだんとたのしい授業を始めていきました。
そして飯田さんから、
『たのしい授業』に掲載されていた授業プラン〈おおかみ〉を教えてもらいました。
〈おおかみ〉は、谷川俊太郎さんの詩です。
授業プランでは、おおかみの詩の言葉を予想しながら読んでいく というもの。
クラスでやってみたら、大盛り上がり!!
(下記の本にも詳しく掲載されています)
リズミカルに読めるので面白いし、
子ども達も「このオチ!」と大爆笑するのもいい。
しかし、それだけではありません。
何度も授業をやっていくと、
本当におおかみの一日が書かれているな、って気が付いたんです。
おおかみ、生きてるなぁ…って思えます。
とても素晴らしい詩だと思います。
そしてこの授業プランは、
今では4月の授業参観での定番メニューとなっています。
2.学級通信の題名に
・歩くうた
初任の頃は、学級通信をほとんど書かなかったのですが、
仮説実験授業や楽しい授業を知っていくと、
子ども達のスバラシサを伝えたくなっちゃって。
学級通信をばんばん書くようになりました。
そして新採4年目は5年生担任となりました。
学級通信のタイトル何にしようかな?
と悩んでいたところ、
当時通っていたサークルでお世話になっていた広瀬由美子さんが
学級通信に「どきん」と付けていました。
「どきんって面白い名前だなぁー」と思っていたら、その「どきん」というのはどうやら谷川俊太郎さんの詩 だったそうです。
その「どきん」の詩が読みたくて、こちらの本を購入しました。
どきん もとってもかわいい詩。
しかし…
そこに掲載されている、
「歩くうた」に、とっても感銘を受けたんです。
なんてすてきな詩なんだろう!!って。
この「歩くうた」という詩を読んで、いろんな歩き方はあるけれども、人は自分の足でしっかりと歩いている。それって素晴らしい!と思ったんです。
ですから、学級通信の名前は「歩くうた」にしました。
そして最初に配る学級通信に、なぜこの題名にしたのか?も掲載しました。
◎ご家庭のみなさんへ
この学級通信『♪歩くうた♪』には、時間割り以外でも私だけが独り占めにしてしまうのはもったいない、子ども達のいろいろな様子を取り上げて発行していこうと思っています。よろしくお願いいたします。
今回の学級通信『♪歩くうた♪』は、谷川俊太郎さんの詩の題名から拝借しました。「歩くうた」という詩を読んだ時、「てくてく歩く人もいればのそのそ歩く人、歩き方や進む道は人それぞれ。でも、ひとは今日から明日へ歩き、自分の足で歩いていくんだ!そしてそれぞれ歩く自由があるんだ」という印象を受けました。
この詩の中での歩くことは、前へ進む事と私は考えます。後ろ向きで進むより、前を向いて進むことの方がいろいろな出会いもあるし、いろいろな自分をみつけられるかなと思いましたので『♪歩くうた♪』という題名にしました。
・そのひとがうたうとき
そして5年目は…持ち上がりの6年生。
クラス替えはあるけれども、持ち上がり。
もちろん「歩くうた」続投でもよかったんですが、
メンバーも変わるし、他の題名ないかなぁ…
うーんうーん…と考えていたところ、
そのひとがうたうとき をみつけました。
(そのひとがうたうとき、も『どきん』に収録されています)
え?この詩もめっちゃいい!!
私は歌を聞くことが好きですし、好きなアーティストのライブにもよく行きます。また、音楽フェスにも行きます。
そこで 「うた」は人をつなぐ そして、「うた」以外にもたのしくつながれるもの・元気にになれるものがあるクラスになったらいいな
と思い、「そのひとがうたうとき」を題名にしました。
そして、歩くうた同様、最初の学級通信に掲載しました。
◎ご家庭のみなさんへ
『♪そのひとがうたうとき♪』には,私だけが独り占めにしてしまうのはもったいない,子ども達のいろいろな様子を取り上げて発行していこうと思っています。よろしくお願いいたします。
さてこの通信の名前,実は『♪そのひとがうたうとき♪』は,谷川俊太郎さんの詩の題名です。
詩・「そのひとがうたうとき」を読んだとき,
「うたは時代を超えて受け継がれていくこともある。また,人によって聴き方・かんじかたは違う。それは世の中にいろいろな人がいる証拠!だなぁ~。
また,うたはどんな人も元気にさせるし感動させることができ,人と人とをつなぐ手段だと思う!うたを通じて少しでも気持ちが前を向いて進んでいけたらいいとおもうし,クラス全体が楽しくて明るい雰囲気になったらいいなぁ。」と思いました。
もちろん うた だけでなく人と人をつなぐもの・楽しくそして元気になれるものはたくさんあります。そのようなことを大切にしながら最高学年の年を,前向きに・楽しく過ごして欲しいなぁと思っています。
ちなみにこの二つの題名を隔年で使うくらいずーっと学級通信の題名にしています。
この題名を超える題名がなかなか出てこない…というのが大きいんですけどね。
3.「生きる」
教科書「国語6 創造」(光村図書)の最後、
卒業するみなさんへ に掲載されてるこの「生きる」という詩。
最初読んだときは正直「どういうことだろう?」なんて思ったのですが、
何度も6年生を担任するたびに読んでいると‥‥
なんてすてきなんだろう
生きる ということは、ここに書かれていることを含め、人それぞれがいろんな生き方をしている・それがまさに生きていることなんだって思いました。いやもう言葉になかなかできないくらいすてきな詩。
特に最後の
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ
ここを音読するたびに…毎回泣きそうになります。
しょっちゅう手をつないでた低学年の頃から、どんどん成長し、
卒業するころには私の身長を超えている子達もたくさん。
その手のぬくみ というのは、高学年になると…ね、
なかなか感じられないけれど、
けれどもあなたたちと、この場所で、同じ空間を一緒に生きているんだなぁ
なんてことを思っちゃうと。。涙が出てきますね。
小学校6年間の成長って、本当にすごいなって思います。
1年生の入学式では足がつかなくて、
足をふらふらしながら座っている子もいるし、
時には隣の子とけんかする子だっている…けれども、
卒業式には、まっすぐに顔をあげて、
足を付けて座っているんですもんね。
小学校生活最後に紹介する詩というのにふさわしい詩だなと思います。
4.いつもそばに
ふときがつくと、谷川俊太郎さんの詩や言葉は、気が付くと小さいころからいつもそばにあったんだな と思います。
子どもの頃から教科書に掲載されているスイミーの翻訳も谷川俊太郎さんですし‥‥。
そして、『ピーナッツ』の翻訳もされていた とのこと。
![](https://assets.st-note.com/img/1732026567-9PYb7outWCLeZi4HjvGTkKSN.jpg?width=1200)
ちなみに私、
谷川俊太郎さんの本を全部知っている、というわけではありません。
しかし、ふと「この本イイな」とか思うところに
谷川俊太郎さんの言葉があったなぁって思います。
こんなにすてきな詩や言葉を
これからも子ども達に紹介できたらって思います。
そして、「歩くうた」「そのひとがうたうとき」は
これからも変わらず学級通信の題名だろうなとも思っています。
最後になりましたが、
卒業式、子ども達に読みたい本は…
![](https://assets.st-note.com/img/1732027135-gKiTuRSQ42bxWYaL7c1VrUvn.jpg?width=1200)
こちらです。
この本もとってもすてきです。
私らしく、これからも生きていこうって思えます。
谷川俊太郎さん、ありがとうございました。
(追記)
記事公開後、研究会のMさんからメールが届きました。
文さんのnote読みました。
私も彼の詩が好きで(というほど詩は読みませんが〉、彼の死去の報を聞いて,心を痛めていたところでした。
文さんの文,とてもよかったです。
彼の詩と文さんの教員の歩みがつながっていて,うるうるしながら読みました。
彼の詩で合唱コンクールに挑んだクラスを何回か受け持ったことも思い出しました。詩はステキなんだけど,曲が難しかったのがいい思い出です。
来週の学年通信で詩を紹介します。文さんのおすすめ《歩くうた》です。文さんの思い,とても伝わってきます。
私は,《歩くうた》を知らなかったのですが,文さんの紹介で出会うことができました。
文さん,ステキなメッセージありがとうございました。
そして,谷川俊太郎さん,ありがとうございました。
Mさんは谷川俊太郎さんが亡くなったとき、谷川俊太郎さんの詩をネットで探していたのだそうです。そしたら私の記事を見つけた ということだったそうです。
Mさん、ありがとうございました。
こうやって反応が来るのはとてもうれしいです。