「大人の学び」北欧デンマークについて

「学び直し」というけれど

 最近「リスキリング」「学び直し」「リカレント」などの言葉で、大人が学ぶことへの関心が高まっている。私自身も40歳になり、学校と名のついたものを卒業してから15年以上が過ぎた今、新しいことを学んでみたいという気持ちが芽生えた。もちろん政府が言う「リスキリング」というのは、産業構造的に今後人手不足になりそうな産業に関連した学問を積極的に学んでもらおうという意図があるのだが、私のそれは単純な好奇心からのものが大きく、今で言う「役に立ちそうな」学問領域ではなさそうだ。だが、今後の職業人生において「役に立ちそうな」学問という観点で選択するのはもうやめようと思う。真に知りたいと思う探究心や好奇心から出た学習意欲のほうが、やる気が確実に違うからだ。

フォルケホイスコーレって?

 学習意欲が高まっていたときに、「大人の学び」で色々検索していると、北欧デンマークには「大人の学校」のようなもの、「フォルケホイスコーレ」というものがあると知った。これまでにもデンマークといえば、幸福度が高い国、生産性の高い国、のようなことで注目されている国だと認識していた。「フォルケホイスコーレ」の考え方や、大人でも、いや人間はいつでも学ぶことに積極的になって良いのだと国がその思想を体制から整えている点からして、進んだ考え方の国だと心惹かれるものがあった。
 その後、自分の関心が高い領域(働き方や生き方、教育関連など)の本を数冊、デンマークに関連する書籍を読んでみた。
 日本とデンマークの単純比較はできないことは百も承知であるが、決定的に違うのは「対話を重んじる生活に根付いた民主主義の考え方」が根付いているという文化的背景ではないか、と思う。そして、民主主義の根底にあるのは「対話」である。日本では真の意味での対話ができているだろうか…?

いつでも、自分の好奇心の赴くままに

 どうしても「勉強」というと、無理やりに学ぶような印象があるが、本来「学ぶ」ということは人が持っている知りたいという欲求に素直な状態であって、好奇心は誰しもが持っているものだと思う。ただ、「就職に有利だから」「大学に入るため」のような手段が目的化したような動機の場合、高いスコアを取るだけの勉強は確かに面白くないかもしれない。「知りたい」と思う好奇心から好きなことを学べ、それは誰しもが持ちうる権利として尊重されるべきだ。私自身も、会社で必要な知識を得るため、最短ルートで成果を得るための学習ばかりしてきたように思う。それはそれで自分の血肉になっている(はず)と思うが、仕事の役に立つか立たないかを抜きにして、今後好奇心の赴く方向へ学びを進めたいと思っている。

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