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あだ名
実は今、我が家に、ちょっとした調査の一環で、アレクサ搭載のスマートスピーカーが来ている。そして、何かあると、
アレクサ!
と、呼びかける。
慣れるために、天気予報を聞くときも、音楽をかけるときも、アレクサを使ったりする。
このアレクサ、なかなか賢い。だいたいは音声というか、声を聞き分ける。そして、なかなか良い仕事をする。
スマホにはSiriが入っているし、それを使ったりするので、ある程度は知っているつもりでいたが、真正面から受け止めて使い始めると、ちょっと違う感覚がある。特に家内は、スマホを持っているにも関わらず、Siriを使うことがあまり無いので、今、アレクサとの共同生活に、慣れていこうと取り組んでいるのである。
家内は、よく、話しかけている。
アレクサ、日本の音楽をかけて。
それを聞きつつ、ちょっと笑えてくる。それを喉の奥に押し返して、私は、平静を装う。
アレクサ、明日の天気予報を教えて。
これも、だ。思わず背を向けて笑いを堪える。
家内がアレクサに話しかける声は、いかにも作った、よそ行きの、優しい猫なで声なのである。
1度、直接聞いたことがある。
どうして、優しく言うの?
その言葉の後ろには、声には出さないが、
私には、キツいのに……。
という追加があるが、これは心の中でしか付け足さない。
家内は、少し怒り気味で言う。
普通に、言ってるだけだけど、何か?
でも、どうしても、よそ行きで、いやに優しいのだ。それが可笑しくて、いつも、心の中で、独り、笑っている。
そして、家内がだんだんアレクサに慣れてきた。そのうち、ちょっと弊害が出てきた。
家内が、私に言うのである。
コジクサ、テレビのリモコンを取って。
……。
コジクサ、聞こえる?テレビのリモコンを取って。
……。
私の我が家でのあだ名は、いくつかある。「キモッ」「タセキング〜」など。そこに、もうひとつ書き加えられた。
その名は、コジクサ。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
※今回の記事は、墨字書家・五輪(いつわ) さんの、この記事の企画に参画しております。創作墨字を作って頂こうと思っています。過去記事でエントリーしようかと思いましたが、今日の記事のような、ゆるり感こそが、私の代表作かと思い、今回の記事、「コジクサ=kojixa」でエントリーします。