別れ
とうとう、我が家のテレビ、「たかお」との別れが来たのである。
我が家のテレビは、プラズマテレビである。それも、17年前のもので。その名は、「たかお」という。
なぜ、プラズマテレビかというと、自発光だからである。
簡単に言うと、パネルが自分で発光する。対して液晶は、バックライトの光で液晶パネルを後から照らす。
何が違うかというと、映像のしゃっきり感と、階調が違う。
くらい場面でも、その暗い中のものの動きや景色がはっきりと認識できる。
なんのはなしです画。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、説明がちょっとわかりにくいなぁ。
たかおは、かの東日本大震災で、家が激しく揺れ、倒れて画面にひびが入った。それでも頑張り続け、5年ほど前にチューナーがダウン。チャンネルは、ブルーレイルコーダーから合わせることになった。
次に、スピーカーのカバーが外れ。次に、画面が真っ赤になり。真緑になり。真っ黒になり。それでもスイッチを何度も入り切りして復旧した。
白い部分は、滲んできて。スイッチが戻らなくなり、入らなくなり。そのたびに何度も入れたり切ったりして誤魔化し、復旧。
つまり、たかおは、満身創痍のまんま、17年間走りきったのである。
電気屋さんが来て、7月中旬の土曜日、たかおは、引退した。
家内と私とで、
「ありがとう、よく頑張ってくれた」
と声をかけ、玄関から出した。
次のテレビは、4Kチューナー付きの有機ELパネルのテレビで。ちなみにこれも、自発光パネルである。
あまりにも明るくて。「あらた」と、名付けた。
あらたが家に来てから、長女はすぐに見て、綺麗だと言った。長男も次女も帰宅してきて驚いていた。
今後は、たかおが頑張っていってくれると思う。
出会いと別れ。世の中、いろいろある。
たかお、本当によく頑張ってくれた。ありがとう。
少し前のそんなこんなを家内に語ろうとしてソファーをみると、家内が脚を指さして笑って言った。
コジくんも、頑張らなきゃね。なるべく、長時間、長期間。
……。
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。