外国製
私は、花粉症が酷い。それも、様々なというよりも、全てにおいての花粉アレルギーを持ち合わせているので、年がら年中、鼻が詰まっていて、マスクをしている。このご時世になるずっと前から、私には、マスクが欠かせなかった。
マスクの話を書いたことが何回か、ある。その中でも思い出深いのは、次女が中学生の時に、チームの友人が、結構しっかりしたマスクを、超激安で譲ってくれたことだ。
100枚で50円である。つまりは、1枚0.5円。
もちろん、私は、買いだと思って、奮発して、20箱。合計2,000枚を買い込んだ。
家内は、こう、言った。
コジくんは、限度というものを知らないから。
そして、毎日のように言うのである。
無駄遣いだよね〜。
いつ、なくなるのかしらね〜。
限度って言うものを知ろうね〜。
このご時世になる前は。多くの花粉が飛んでいる季節にならないうちは、マスクを1日1枚なんて無駄遣いだと思って。だいたい、1週間くらいは、同じマスクをしていた。だから、減らなかった。マスクの箱が。いっこうに。
ところが、このご時世になり、マスクが世の中から消えた。
だが、我が家だけは、マスクの心配をすることは無かった。
あれから時間が流れ。そのマスクが、あと2箱になり。そろそろ片付くと思ったら、なんだか、さびしくなってきて。
納戸を探してみると、怪しい箱が、出てきた。
思い出した。これは、義母から送られてきたものである。義母は、兵庫県の丹波篠山市に住んでいるのだが、その外れの集落にいる。
人が、周囲にほとんど住んでいない。
そんなところに、有線放送でお知らせが入り、マスクの販売が突然、行われたのだという。
行ってみると、なんだか怪しい箱に人が、群がっていて。ちょっと怪しんだのだが、お付き合いで、2箱だけ購入したのだという。
我が家のマスク事情をあまり知らずに送ってきてくれたのだが、驚いたことに。1箱、3,000円。1箱に、50枚入っているので、なんと、1枚60円。
マスクが、まだ、世の中に復活してきていない時期で。それでもかなり安い方だと家内は、当時、話していた。
心の中の、リトルkojuroが、頬杖をついて、つぶやいた。
なんだか、怪しく思うのは、なぜだろうか。
片面が、青い。
心の中の、リトルkojuroが、少し笑いながら、つぶやいた。
半分、青い、だな。
子供達や家内は、当時、それを使わなかった。そして今、私が、使っている。
使い勝手が悪ければ、もう止めようと思っていたが、使い始めて、大きいし、私には、合っている。特に不便や不良などは、無さそうだ。ただ、耳かけのゴムが少しきつくて。耳かけの当たる部分が痛かったりする。そして、鼻のあたりに入っているガイド部分が、少し片側にズレている。
人は、モノを見かけで判断する部分が多い。
だから、私や家内は、あまり人が、平素来ないような、とても田舎に、わざわざ売りに来たということに少し怪しいと思ったのだった。そして、箱のデザインや見かけ。なんだか、怪しい。そして、日頃目にしたり、使っているその国の製品の品質。満足度。いろいろな面から、やはり、怪しいと思う先入観は、なかなか、拭えない。
だが、このマスク、暫く使っていて、大きな問題は無さそうだ。
マスクには罪は無いので。使い切ろうと思う。ただ、使うのは、私ひとりなのだが。
そして使い切ったら、新たなマスクを試しつつ、むかし購入した格安マスクに戻して、これを、使い切ろうと思う。
家内が、私に言った。
コジくんは、いろいろ考えていて、やっぱり、えらい。
このご時世にならなきゃ、そのことが、わからなかった。
ニコニコしながらそう言って、いつものように、脚を、指さした。
社交辞令の後は、ミッション発動だ。
家内は、マッサージをすると、上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから、
これで、いいのだ。