フラペチーノ
長男が、このあいだの、4連休で、仕事を絡めて、帰宅してきた。オリンピックの開会式は、一緒にテレビ見ようと言いつつ、4連休で、したいことが、あるという。
そして、ひとつの企画を、家内と私に、提示した。
それは、スターバックスコーヒーの、フラペチーノを飲む、旅だという。
スターバックスコーヒーは、今、8月の最初の火曜日まで、ご当地フラペチーノのキャンペーンを、していた。関東と、静岡まで、足を伸ばせるところは、4連休で、一緒に行かないか、との、ことだった。
家内は、こういう、期間限定ものは、大好きだ。そして、私も、ものを集めるのは、大好きなのだ。すぐに、その提案に、乗った。
4連休初日は、茨城、千葉、栃木、群馬、埼玉。二日目は、鋭気を養い、3日目に、静岡と、東京と、神奈川。長女を夜、迎えに行く。
最終日、長女は、一日休み。次女に聞くと、次女も休みで、行けるという。
家族総出で、4連休の最終日、思わぬ小旅行の予定となった。
初日。その小旅行の前哨戦となった。
長男と、家内と、私の3人で、昼前頃に、家を出た。
最初に茨城に行くことになった。高速のサービスエリアに、スタバがあったので、守谷サービスエリアに向かった。すると、凄く混んでいた。昼前という時間帯であったこともあるが、駐車場も、スタバも、混み混みだった。
店に行くと、こんな貼り紙を見つけた。
心の中の、リトルkojuroが、寂しそうに、つぶやいた。
ああ、無情。
なんてこった。
すぐさま、店を探し、家内が、フラペチーノがあるかどうかを、店に電話をかけて、確かめようとする。が、なかなか、出ない。恐らく、忙しくて、出られないのだろう。
店の目星をつけて、高速を出て、直接、行ってみることにした。
すると、かなりの行列だった。そして、みんな、オーダーは、ご当地フラペチーノだった。
何とか、ゲット。
家内が、このシリーズの、写真の型のベースを、決めた。この、構図で、撮る。
3人で、もう少し早く出るべきだったとか、茨城は、そもそも、美味しそうだから、人気が特別なんだとか、連休初日で、人出も凄かったんじゃないかとか、いろいろ、話しながら、次のターゲットを、千葉に定めた。
家内が、柏の葉の店に、電話をすると、店員が、丁寧に、出た。そして、フラペチーノは、まだ、あると、教えてくれた。
千葉は、定めた店で、ゲットできた。だが、家内が、眠くなった(注1)。そして、少し休憩することになった。
長男が、運転を代わると言ったが、家内が、復活し、また、家内の運転で、今度は、栃木を目指した。
栃木も、最初の店では売り切れていて、二軒目で、ゲット。
続いて、群馬、埼玉は、予め電話で確認して、一件目で、ゲット。
さすがに夜遅くなり、家内には限界が来て、埼玉からの帰宅は、長男が運転を代わり、深夜に、帰宅した。
翌日は、休養し、連休3日目、東京から、静岡に遠征し、神奈川で、長女を迎えに行った。そして、最後に、自宅に帰宅した次女が、長男の企画に、加わった。
静岡も、三島の店は、もう、売り切れていた。沼津まで移動し、ようやく、ゲット。神奈川は、何とか、夜に、テイクアウトで、ゲットした。
連休最終日は、山梨と、長野である。
そこまで回れたら、関東近縁で、行けるところ全て、回ったことになる。
山梨は、まず、サービスエリアを狙ったが、やはり、売り切れていた。
インターチェンジを出て、何件か電話で確認したが、どの店も、出ない。当たること三軒目で、こんな、テープが、流れた。
山梨県内の、ご当地フラペチーノは、県内の店舗全てで完売しております。大変申し訳ありません。
心の中の、リトルkojuroが、寂しそうに、つぶやいた。
それは、残念無念……。
ガックリきながら、長野だと、東から入るとすれば、諏訪方面と定めて、諏訪の店に電話すると、丁寧な男性店員が対応してくれて、まだ、ありますと、告げてくれた。
お客様のご来店を、お待ちしております。
はやる気持ちを抑えながら、私たちは、小志朗(注2)を、走らせた。
諏訪の、目標地点に到着し、店に入ろうとすると、ドライブスルーに、車の、長蛇の待ち列が、出来ていた。
それを横目に、店内に入ると、やはり待ち列が出来ていて、だいたいのオーダーが、ご当地フラペチーノだった。
長男が、すかさず、2つ、オーダーする。何とか、それが、通った。
小志朗(注2)に戻り、その最後のフラペチーノを、家内と、長男とで分けながら、やはり、リンゴは美味いなと、堪能した。
帰りは、静岡経由で神奈川に抜けた。長男は新幹線で関西へ。長女は、自宅まで送り届け、次女と家内と、私は、東京へと帰った。時間は、23時を回っていた。
さすがに、短時間でのこの距離の移動は、家内だけではまかないきれず、長女が運転を、何度か、代わった。
私は、何度か、ドライバーに立候補したが、運転が荒いのだと、誰も、承諾してくれなかった。
心の中の、リトルkojuroが、残念そうに、つぶやいた。
全く、信頼されていないな。
自分では、有能なるエージェントだと思っているのに。
帰宅して、家内が、ポツリと言った。
あと何回、こんなことが出来るのかなあ。
もう、無いのかなあ……。
家内は、疲れもあったろうが、どこか、寂しげだった。
長男の、思いつきの企画に、乗っかったのだが、かなり、楽しかった。
車の中では、オリンピックの試合を、堪能した。日頃じっくり話せないようなことも、少し話した。冗談を言い合い、笑い合った。
最終日は、家族総出だ。
長女も、たまの、1日だけの休みを、わざわざ、この旅行に当てた。
次女も、提出レポートの山に悩みつつ、たまの、1日だけのオフを、躊躇せず、フラペチーノに、費やした。
家内も、ゆっくりと休養しようとしていた時間を、運転手というミッションに、つぎ込んだ。
みんなが、長男の企てに、喜んで加担したのだ。
小志朗(注2)は、優れた車だが、コンパクトカーだ。後部座席に、大柄の兄妹が、3人並んで座った。
本来は、家内が、1番スリムで。長男が、一番の巨漢だから、私と長男が交代で運転席と助手席。そして、3人の女性陣が後部座席というのが定石だが、私の運転が荒いと言われ、後部座席に私が座ると、助手席の取り合いになるということで、私は、助手席固定となった。
後部座席では、狭い狭いの文句が炸裂していたが、家族揃っての遠出の珍道中は、オリンピックの試合を見つつ、冗談や世間話を絡めつつ、笑いあり、感心ありの、充実した小旅行になった。
心の中の、リトルkojuroが、ちょっと笑って、つぶやいた。
みんな、どれだけ、家族が好きなんだよ。
でも、本当に、今後、こんなこと、もう、そんなに、無いだろうな……。
深夜の風呂上がりのあとは、私には、ミッションは、無かった。
家内は、こう、言った。
明日の準備が終わったら、ゆっくり、寝てちょうだい。
家族みんなの優しさを、噛みしめて、そして、過ぎゆく時を懐かしみつつ、布団に入った。
(注1)家内は私が運転すると酔うらしく、99%、家内がハンドルを握っている。
(注2)我が家の車には、小志朗=こじろう、という名前がついている。
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