デジャビュ
先週、机の周りを、少し、片付けてみた。そしてその時、何年も前に、長女がイベントでもらってきた、ピカチュウの風船があった。
空気が抜けかけていて、何とか復活させようとして、ストローを抜き差ししている間に、あろうことか、そのストローを抜いてしまった。
やってしまったと思いつつ、もう、寿命だなと、私は、思った。そして、このピカチュウにも、きちんとお別れをして、さよならを言おうと、思ったのだ。
家内に、そのことを告げた。ストローを抜いてしまい、復旧が出来ないことになってしまった、私の失態を含めて。
すると、家内が、少し、不敵な薄笑いを浮かべながら、ハサミを取り出し、言った。
また、萎ませてあげようか?ピカチュウを?
心の中の、リトルkojuroが、叫んだ。
ダメだ、ダメだ、ダメだ!今は、ダメだ!
家内は、長女が幼い頃、長女の大切にしている犬のおもちゃを、勝手に穴を開けて萎ませて、廃棄して大変なことになったことがある。
私の足は、微かに震えていた。
すると、家内が言った。
冗談よ。そんなこと、しないわよ。ふふ。
心の中の、リトルkojuroが、微かな声で囁いた。
何か、あるぞ。まだ、何かが....。
そして、私は、そのピカチュウに、声をかけた。あと少し、一緒にいようか。
暫くして、家内が、ニコニコしながら、寄ってきた。
断捨離、したよ。
ほら〜。
これを見ながら、心の中の、リトルkojuroが、囁いた。
これって、ビニールの、緩衝材だよね.....。
さらに、心の中の、リトルkojuroが、囁いたが、その声は、明らかに震えていた。
穴、開けたんだよ.......。多分、ピカチュウの、代わりに.......。
明日の朝、ちょっと、萎みかけたピカチュウが、いなくなっていたら、その仕業の犯人は.......。
ほら〜、じゃなくて、それはもはや、ホラーだ。
私は、家内に気付かれないように、心の中の、リトルkojuroの震えた膝を、掌で、抑えた。