あら汁
次女は、顔は、家内の母方の祖母に似ている。名も、そうだ。だが、家内に言わせれば、私に至極似ているというのだ。
結構はちゃめちゃな性格で。思った通りに行動するのだが、そう見えて心配事で寝られなくなったりする。
本質は粘り強く、そして芸術家肌で。時々、思ってもみない、驚くようなことをやり遂げる。
結構キツいが、根は、凄く優しい。
なんだか、家内にそっくりだとは思うのだが、家内は、言う。
「M(注1)は、コジくんに、そっくり」
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
顔は、似ていないけれどね。
親子というのは、どこかで似ているのだろう。
私が認めざるを得ないのは、Mが、あら汁がすきだということである。
魚の骨を取り出すのが面倒で。我が家は、私を除いて、父をはじめとして刺身以外の魚料理が好きではない。
家内も長男も次女も、勿論骨のある魚は好きではない。
ところが、長女は時々、家内にリクエストするくらい、あら汁が好きなのである。
いつもは、私のことなど眼中にない長女が、言うのである。
「血は争えないね。だから、お金貸してね」
なんのはなしです金。
そんなこんなを家内に語ろうとしてソファーをみると、家内が脚を指さして笑って言った。
コジくん、娘だから、仕方ないね。コジくんのスネは囓られるためにあるのよね。
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。
(注1)Mとは、長女のことである。私にはかなりキツいが。根は、優しい子である。