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誘惑
やはりというか、なんというか。最近、すごく困ったことになっている。
週末に、2〜3杯という公約をしている、この、ビールサーバーの制限なのであるが、どうしても、誘惑に勝てなくなってきている。
心の中の、リトルkojuroが、とぼけた顔で、つぶやいた。
誘惑って、何の?
そりゃ、決まっているじゃない。美味しいビールの誘惑だよ。
確かに、このサーバ、美味しい。特別なビールであることは、わかる。お店で出されている生の味がする。いや、もっと言うと、ビール工場の試飲ビールに近いと言っていい。
だから、どうしても、誘われてしまうのである。
ヒトシさんからは、
偉いまで言われて、褒められたのに、実は、もう、節制の決心がグラついていたのである。
しかも、なんだか、見透かされているような感じもあった。
すみません。平日は、炭酸で、我慢できなくなってきているんです。恥ずかしながら。
2ヶ月しか経っていないのに、もう、こんなに飲んでしまった。
あと3週間で、1ℓしか、残されていない.....。
心の中の、リトルkojuroが、嘆きながら、つぶやいた。
強者どもが、夢のあと。
8月のあたまに来た、追加ボトルに、こんなキャンペーンのお知らせがついていた。
だが、これほど誘惑度が高いものを人に紹介するなど、罪以外のなにものでもない。自分自身が自制を失おうとしているのに。だめだ。そんなことは。しかも、それで何らかのキックバックを得ようなど、邪道である。
心の中の、リトルkojuroが、ボソッと、つぶやいた。
女王陛下は、こういう、キャンペーン、大好きだから、すぐに捨てておいたほうがいいよ。
確かに。すぐに、シュレッダーゆきだな。
ジュイ〜〜ン
話を戻そう。
実は、頼み込んだのだ。長男に。今のところ、長男に、銘柄変更や量変更などができる会員サイトのIDとPWは、牛耳られていて、私にはどうにもならない。
このあいだ、猫撫で声で、電話をかけた。
よう、元気か。
ん。何の用?
いやな。ちょっと、頼み事があって。
いや。頼み事をされる覚えは無い。切るよ。
いやいや、そんな無体な。
なに、早くしてよ。忙しいんだよ。
あのな、サーバーのことなんだが。
あー。で。
実は、ちょっと変更しようと思って。
銘柄は、変更してあげられるよ。800円ちょっとの差だから。
いやいや。銘柄ではなくて。量を、さ。ちょっと、倍くらいに、さ。
......。
いや、お金は、払ってもいいからさ。俺が。
.....。
聞いてる?
.....。
聞こえてる?
.....。
あのさ、コジ。多分そう言うだろうと思ってたんだよ。でもさ、コジの健康を考えると、到底、承諾はできない。息子として。
え?それが、親孝行とは、思わないのか?
思わない。じゃ、切るよ。忙しいんで。
お、おい!
...プー、プー、プー.....。
心の中の、リトルkojuroが、笑いながら、つぶやいた。
持つべきものは、健康を考えてくれる孝行息子だな。
孝行息子に対する増量交渉に敗れ去った哀れな父親を、炭酸水メーカーが、静かに笑っていた。