まがった、のおと【ショートショートnote_55/創作】
家内が私を追求するので、仕方なく、日曜日の夜に投稿するための、ショートショートの創作活動を、細々としている。
ショートショートノートカードゲームを使い、お題を家族に出してもらう。それをテーマに410字以内で、書く。
今回は、次女に、予めスマホのスロットアプリで選択していた以下の5枚から、お題を設定してもらった。
それでは、本編にまいりましょう。
次女のお題から。
本編、「まがった、のおと」、約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
真は、小人のフィギュアを多数、従えている。指示さえ出せば、エスパーとして働き出す。
ある日、実が真の部屋に夕食を持って訪れたとき、真が実に告げた。数時間後に集落が鉄砲水に襲われるというのだ。
真は実と共に、雨の中、外に出た。
まず、小人を派遣し、住民を公民館に避難させた。説得するのは大変なので、催眠をかけて誘導したのだ。
さらに、川岸に小人の念力でバリアを張り、濁流を安全に海まで流れるように仕向けた。
かくして、集落は、静かに救われた。
雨の中、小人たちを指揮した真と実は、ずぶ濡れで家に戻った。
真の手には、夢が書きこまれたノートが丸めて握られていた。
すぐに夜が明けた。
まるで昨夜の出来事が嘘だったかのように晴れ上がっている。
それぞれの家には、朝餉の煙が立ち上がっていた。
真は、実に告げた。
「もっと小人を増やして、ふたりで奇蹟を呼び寄せよう。」
机の上には、実が持ってきた冷めた夕食と、乾いて曲がったノートが、静かに置かれていた。
☆ ☆ ☆