ハッピーデイ
8のつく日になると、必ずと言って良いほど、することがある。近くのスーパーに行くのだ。その日は、ハッピーデイと称される。多数のものが5%引きになる。
一番近くのスーパーが、そういうスーパーであることも事実なのだが、コンビニを含む、そのスーパーのグループのことが結構好きだったりする。
先日の8日も、テレワークにして自宅で仕事をし、定時で仕事を切り上げた。そして例に漏れず、そのスーパーに足を運んだ。
私と家内の目的は、実は、もうひとつある。
電子マネーに、10000円をチャージすると10%のポイントがつくのだ。その専用チャージ機は、コンビニ内には無く、スーパーの一角に、ドンと構えている。
手際よく家内が先にチャージする。
私のを見ておいてよ。しくじらないように、ね。
はい。
そう言いながら、あっと言う間に家内のチャージが終了する。
次は、私の番だ。
私は、決して機械音痴ではない。ただ、ちょっと機械に対してせっかちなだけなのだ。毎回、家内に指導される。
はい。まず、落ち着いて、カードを置いて。
はい。
で、画面を、ゆっくりと、順番に、タッチする。
はい。
最後、まだ、とっちゃダメよ。
えーと。
ほら、ほら、ほらっ!せっかちに取るから、エラーになるのよ!
む……。
ほらっ!最初からっ!もう一回っ!
……。
いい歳をしたオヤジが、まったく形無しである。
後ろに並んでいた主婦が連れていた幼稚園くらいの女の子が、口に手を当てて笑いながら私を見ていた。
あのー。恥ずかしいから、もう少し、丁寧に、優しく教えて頂けますか。
と、心の中で小さな声で懇願しながら、その少女に、ベロをちょっと出して笑いかけた。でも、マスクをしていたので私の表情がより情けなく映ったのだろう。その女の子は、ケラケラと声を出して笑い出した。
それは、平日の夜、早い時間の、平凡で平和なひとときだった。
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