大逆転
長男のこだわりポイントは、イギリスのサッカーチームのマンチェスターシティ(シティと略することはある)と、美食と、F1である。
美食とは言っても、それほどお金のかかることはできない。美味しいもの、限定もの、あるいは、ラーメンくらいで。あとは、こだわりの、水だろうか。
さて、その、大好きなサッカーチームの、マンチェスターシティだが、この5月に、ふたつの大逆転劇に絡んだ。
少し話を戻すと、シティが属しているイギリスのプレミアリーグのチームにとって、ビッグタイトルが4つある。つまり、最高の栄誉は、4冠、クアドルプルである。
ひとつは、一番大事なリーグ戦。カラバオ杯、FA杯、そして、シティが一度も手にしたことがない、チャンピオンズリーグである。
2019年のシーズンで、このクアドルプルに挑んだが、最後に涙を呑んだ。それは、前に、記事にした。
この時は、長男は、ガックリきて。しばらく出社したくないとこぼしたほどだった。
そして昨年、サッカーではないが、F1で。贔屓のルイス・ハミルトンの、歴代最多優勝がかかった最終戦、レッドブル・ホンダに、ちょっとグレーな判定で負けて、これも、相当にショックで、心底ガックリきていた。
シティの大逆転劇、1つ目は、良くないほうである。チャンピオンズリーグを順調に勝ち上がり、準決勝でレアル・マドリードと対戦し。一戦目にホームで勝利して二戦目も先制点を取り、残り僅かな時間で3点差という、かなり優位に試合を進めていたのだ。
ところが、試合終了間際から追いつかれ、アディショナルタイムに、シティを悲劇が襲った。延長戦でとうとう、奇跡的な逆転負けを喫した。
この試合後、長男は、いつもはLINEに感想を入れてくるはずが、沈黙を通した。
思い出深い今年のゴールデンウィークの最終日、鰻重を2人で食べながら、長男は、ポツリポツリと、悔しさを絞り出した。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
自分でも身内でもないことのために、喜んだり落ち込んだり出来る。
ファンとは、すごいもんだな。
確かに。
事実、長男は、持ち金をはたいて、ヨーロッパまで試合を観に行くほどのファンである。その情熱には、ある面、頭が下がるし、驚く。
そして、5月の末。いよいよ、リーグ戦の優勝がかかった大一番の試合。だいたい、イギリスの試合は、深夜というか、超早朝にある。現地で日曜日の夕方から夜。現地との時差は、約8時間だから、現地18:00キックオフとすれば、こちらでは日曜日の深夜というか、月曜日早朝の2時頃から始まることになる。
長男は、それを、わざわざ、早く寝て、早く起きて、観るのである。
その日は、長女が、我が家で、落ち着かない様子だった。聞くと、関西の長男と示し合わせ、早朝に起きて、観るという。長女は、それほどのファンではないが、長男の熱さに押されたような感じだった。
実は、プレミアリーグで、今年、絶好調だったのは、リバプールという、日本の代表選手では、南野拓実という、エースが所属するチームだった。いわゆる四冠、クアドプルを、まともに狙える成績だった。長男は、それがまた、気になっていた。あとは、リーグ戦の優勝が、シティか、リバプールか。シティにとっては、これを逃すと今年、無冠に終わる。直接対決ではないが、この試合で全てが決まる。そんな大一番を迎えた。
さて、試合は、というと。
2-0でビハインドだった後半に、奇跡的な大逆転を収め、見事にシティは、リーグ優勝を遂げたのだ。しかも後半終了間際の80分の、たった5分間の間に、3点立て続けにとるという、先のチャンピオンズリーグでの敗戦を真逆で仕返すような勝ち方だった。
5分で3点、改めて有り得ない pic.twitter.com/uxKHcRwq7f
— 細かすぎて伝わらないイングランド🏴 (@city_pic) May 22, 2022
私は、起床してすぐにその結果を知り、夕方、LINEを送った。
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あまりにも奇跡的な勝ち方をしたので、長女が突然、シティファンになった。今、所属選手を覚えていっている最中である。
今日の記事、すっかり長くなってしまったが、最後に付け加えたい。
シティのチームメイトの中に、彼の地の選手がいる。ジンチェンコだ。優勝カップに、国旗をかけて、泣いていた。
ワールドカップの、欧州のプレイオフ決勝では惜しくも彼の国は出場を逃したが、この状況で、凄まじい善戦をし尽くした。
シティも、オイルマネーで強くなった。ビジネスも、覇権も、野望渦巻くこの世界である。
だが、思うのである。
そういうエネルギーが、明も暗もすべてのエネルギーが、収斂していき、浄化していって、いつか、世界平和の安定へと向かうようにと、今夜も、私は、月に、切に願い、祈るのである。
世の中の、すべての人間の闇と業が、大逆転で、光と平和と安寧へと向かうのは、果たして、いつのことだろうか。
ただ、信じて、歩みたい。