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出張
もともと、遠い場所に出張するのが、あまり好きではない。まして、宿泊出張は嫌いだ。若い頃に、散々出張を経験し、もういい加減、飽きているというのが正直なところなのである。
このご時世になる前、今後の出張用にと買った、キャリーケースがある。私のために、買った、はずだった。
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だが、今は、もっぱら、家内が使いこなしている。
家内は、かなり複雑な仕事を任されてきていて。大阪を中心に、時には、福岡や、いろいろなことろに、出張に行くようになった。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
立場が、全く、逆転だね。
私は、というと。このご時世になり、会議という会議と、打合せという打合せが、ことごとく、リモートになった。よほどの事由が無ければ、出張には行かない。そもそも、出張が嫌いな私は、ここぞとばかりに、行かないことを、まず、選択する。会社も、ここぞとばかりに、私のその決断を、諸手を挙げて支持してくれている。表面上は。
家内の仕事は、人に会うこと。そして、人を集めることが、使命のところがある。だから、足を運ぶ。ライブで、リアルに、人に会う。だからこそ、出張せねばならない。
このご時世でも、そういう仕事は、あり得るのである。
かたや、私の知り合いのお嬢さんは、あるソフトウェアのセールスマンである。営業やプレゼンは、ネット越しに行う。そうして転職して1年間で、そのソフトウェアを数億販売して、それでも売り上げトップにはいかなかったと嘆いたという。
時代は、変わってきているのだ。
家内の売り上げは、その数億にはおよそ届かないが、先日、こう、言い放った。
コジくんが使わなくなったこの、キャリーケースを使って、数年後、ビッグになっているから。
半分冗談だが、半分、嘘でも無いように思えた。
最近、家内は、持ち帰りの仕事に追われていて。ソファーに座って、私に微笑みかけてくるようなことは、無い。
ここまで来ると、私も、自主トレ(注1)を申し出るしか無くなってきている。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
さっちゃん(注2)がビッグになったら、さっちゃんに、養ってもらおう。
まさに。これは、マッサージに勤しまねば。
マッサージをすると、家内は、上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。
(注1)私は、家内のマッサージを、よくする。家内に促されずに、自らの申し出で家内のマッサージをすることを、自主トレと、勝手に呼んでいる。
(注2)我が家の家内の呼称は、「さっちゃん」である。さっちゃんは、女王陛下という別の呼称もある。だが、リキの関係で「おばあちゃん」なんて呼び方は、まかり間違っても、してはならないのである。