お役御免
長年使ってきたスリッパがある。それを、とうとう、手放すことになった。
何年履いただろうか。外見上は、まだまだ使えそうに見える。
だが、もう、底は、ボロボロ。
右は、そうでもないが。
左は、裏が、全部、剥がれてしまった。
昨年の春、テレワークが多くなった。そして、また、年が明けてから、多くなった。
そして、もう、そろそろ、お役御免としようという話に、家内と、なった。次女のためにと購入した、サンダルがあり、まだ、おろしていない、というのだ。
私は、快諾し、交換することにした。
家内が、そのサンダルを、持ってきた。
心の中の、リトルkojuroが、ボソッと呟いた。
あのー。これ、あなたのお下がりだよね。
ちょっとのあいだ、これは、家内が履いていた。
しばらく黙っていると、家内が口を開いた。
何か、不満でも?
いや、別に。
このサンダルは、夏用だ。ソックスを履いていても、少し、スースーする。
心の中の、リトルkojuroが、呟いた。
あのスリッパは、暖かそうだな。
家内のスリッパは、少し古いが、きちんと、暖かそうだ。
家内は、天然のところはあるが、意地悪や画策をすることは、ない。
と、思っている。
心の中の、リトルkojuroが、呟いた。
暖かそうかな。いや。でも、サイズが、小さいな。
いつも、本当は、コジに、いろいろ気を使っているんじゃないのか。
お役御免となったスリッパには、そっと、ありがとう。さようなら。そう、言った。
我が家は、家内がまわしてくれている。
このサンダル、すこぶる、履き心地が良い。気に入った。
家内が、まず、健康で、明るく、笑顔であれば、すべて、まるくおさまっている。
これで、いいのだ。