浮気者
家内が、急に言い出した。
あの、星の、スマホカバーは?
心の中の、リトルkojuroが、苦笑いしながら、つぶやいた。
いやいや、それ、となたのだから。私のものじゃないから、私に聞くのは、ちょっと違うでしょ。
しばらくのあいだ。長女がしていたスマホカバーを、家内が譲り受け、それを、していた。
そして、何の気まぐれか、また、元のものを、したくなったようだ。
私は、その、探そうとしているスマホカバーのありかを知っている。そして、その名前も。
家内は、そのスマホカバーのことが非常にお気に入りで。一度、欠けてしまって取り替えることになったのだが、また、同じがらのものを取り寄せたくらいなのだ。
私は、ゆっくりと、言った。
宇宙太のことを、探してる?
そう、宇宙太。宇宙太、どこ?
家内は、大切なものも、時に、そこら辺に、放りっぱなしにする。だから、私が、大切そつなものは、保管している。無くならないように。壊れないように。
そして、宇宙太を、差し出した。
ありがとう!
家内は、そうやって、笑った。
宇宙太は、ながた師範の命名である。
我が家では、大切なものに名前をつける。我が家というか、私が、だが。このスマホカバーは、ながた師範の命名で、我が家では、通っている。
家内は、気まぐれである。
ほら、もう、長女から譲り受けたスマホカバーが、放りっぱなしになっている。
可哀想なこの、スマホカバーの名前は、まだ、無い。
今夜の月も、曇り空の向こうなんだろうなあと思いつつ、ベランダの足場を眺めた。そして、ゆめのさんの絵を、ぼんやりと、ながめた。