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髪染め
だいたい毎月、家内の髪染めを担当していた。
だが、少し失敗することもあった。特に、生え際、もみあげのところが難しい。
家内のこだわりポイントは、ポイ活と、クーポンと、節約なので、美容院でやるよりも、私がやった方がリーズナブルだということで、私が、やっていた。
だが最近、家内の仕事が変わってきて。大阪などに出張に出たり、重要顧客ともやりとりすることが増えたということで。私の髪染めではなく、プロの美容院に依頼して、やってもらうことが増えていた。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
ヘタすぎて、お役御免になったわけじゃ、ないんだよな。
家内の本心は、わからない。だが、美容院でやってもらった方が、すぐにできるし、それほど高くはないし、今週やりたいとか、急にやることが、あるから。
家内は、そう言うのだ。
私としても、髪染めの手間が省けるのは、好都合でもある。だが、同時に、ムラなくくまなくやったという、満足感や達成感、いや、髪染め師としての意地があったのである。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、いつから、「髪染め師」なんて、「師」に、なったの?
いや、勝手に言っているだけだけど。
1月末に、久し振りに、やった。そして、出来映えは、まずまずだったと、私は、思っている。
だが、あれから1ヶ月は、経っているから。もうそろそろのはずが、家内からは、要望が、無い。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟いた。
クビ、切られたのかもね。今度は、本当に。
どうして、私が、髪染めにそんなにこだわっているのか、自分でも、よくわからなくなる。
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だが、家内が、ソファーに座っていて。こちらを見て、ニコリと笑った。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟いた。
こっちの要望は、まだ、健在のようね。
マッサージをすると、家内は、上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。