
ショートショート_認定
北風とともに、とうとう本格的な冬の寒さがやってきた。土曜日、そして今日と、朝の気温が5℃を切ってきた。
12月も中旬に入るわけだから、当然と言えば同然の話だ。だが今年は秋の深まりを感じる暇がなく師走となった。
どうも年末になると、心が落ち着かない。別に、クリスマスが嬉しいわけでもない。まして、正月が待ち遠しいわけでもない。
ただ、年末の声を聞き、忙しない思いが満ちてくるのである。
そんな日曜日の夜に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、毎週木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「北風と」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題が【釜揚げ師走】で。裏のお題が【唐揚げ死なず】|д゚)チラッ、ということだ。
そしてそして、山根あきらさんのお題は、ちょっと早めに出る。
今週の新たなお題が見当たらなかったのだが、12月8日期限のお題が、「憧れのお姉さん」という言葉をタイトルまたは本文中に含めた「短編小説」「エッセイ」または「詩」をご投稿ください。ということで。
今日もも引き続き、文中にこのお題を入れさせて頂くというところで作ることにしよう。
また、今回も、シロクマ文芸部・北風とで検索して飛んでいき、シロクマ文芸部作品を読んでみた。camyuさんの記事である。ちょっとその感想を述べてみる。
この作品は、北風と太陽の寓話へのオマージュである。
実は旅人は、太陽と北風に負けたのである。
しかし捲土重来、鍛え直し、リベンジマッチで北風と太陽に勝ち、なおかつ北風の肩を持ちつつ北風と太陽の仲も取りもった旅人。三者は固く握手してお互いを称え合って別れたのであった。
なんという大団円。
日曜日のアンニュイな夕暮れに読むに相応しいハッピーエンド大作。
晴れた気持ちで月曜日を迎えることができる。
まことに良い作品を読ませて頂いた。
ただ生きていることに感謝して。今宵も、新月に祈ろう。
小牧幸助さん、たらはかにさん、山根あきらさん。3人とも、私は、大好きである。そして、毎週繰り出されるお宝のお題たちが、毎週の日曜日の、私の励みである。
だが、小牧幸助さんのシロクマ文芸部のお題、シロクマ感想文、たらはかにさんの毎週ショートショートnoteの表裏のお題。山根あきらさんの青ブラ文学部のお題。すくなくとも5重のお題を入れ込んでしまう「荒技」。
この日曜日の荒技、やり始めてからこれで1年と4ヶ月を過ぎた。まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。
なんだか、きかん坊の悪ガキだな。
わかっちゃいるけど、やめられない。
なんのはなしですか。

さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「認定」約410を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
北風と切なさが漂う12月の暮れ方、南大沢のうどん屋さんに入っていた充は、泉を見かけた。
ふと目が合い、互いに黙礼をした。
泉は釜揚げうどんのトッピングにから揚げを乗せようとしたところだった。
すると、いきなり店内に男2人が乱入してきた。
2人は拳銃を手に持ち、ひとりが天井に向けて発砲して叫んだ。
「騒ぐな!」
女性店員を1人を拘束し、頭に銃口を突きつけてレジまで素早く移動。店長らしき人物にズタ袋を放り投げてまた叫ぶ。
「金を詰めろ!」
泉が動いた。
カウンターを飛び越つつ脳天踵落としで1人を崩れ落とし、鮮やかな脳天ハイキックでもう1人を壁際に蹴り飛ばした。
拳銃2丁を同時に無事回収し、ひらりと着地した泉の目前には釜ゆでうどんの丼があり。
何かの拍子に空中をクルクル舞っていた唐揚げが、そこにチャポリと着地して収まった。
充は、柔道中量級インハイチャンピオン。所謂猛者である。
だが。
目前の泉を、「憧れのお姉さん」と認定せざるを得なかった。
☆ ☆ ☆
荒技を書き終えて背伸びをしながら振り向くと、ソファーのさっちゃん(注1)が言った。
noteよりもさぁ、マッサー頼むわ。ここに、荒技は、いらんよ。
マッサージをすると、家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。
