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ショートショート_一網打尽

紅葉鳥というのは、それそのものの鳥の名でもあるが、鹿の隠語でもある。こういう趣のある言葉をお題として出してくる小牧幸助さんという人にすごく興味を持った。もともと好きなのだ。だが、さらに好きになった。なんだか、もっともっと知りたくなった。

さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。

そして、今回のお題は、「紅葉鳥」から始まる、小説、詩歌、エッセイということで。

そして、たらはかにさんからのお題は…。

表のお題が「ごはん杖」で。裏のお題が「小判食え」ということだ。
お2人の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。
それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。毎週、励みになる。

また、今回は、トガシテツヤさんの、シロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を述べてみる。

いい作品だ。トガシテツヤさんの作品は、完全な文学である。私のような者とは、住む世界が違う。今回の作品も、すごく面白かった。突然の幸運、として、それを独り占めしようとして欲をかき、すぐさま転落する。人間の業を、さらりとテーマにし、しつこくなく、教訓ぼかしではなく、余韻として読者に手渡している。私は、ふと、「蜘蛛の糸」を思い出した。あの作品も、短編だった。トガシテツヤさんのこの作品も短編で。読みやすくもあるが、とても深く考えさせられる作品だった。

さらに、小牧幸助さんが、新たな企画を出された。シロクマ文芸部員のはしくれとしては、作品を出さないわけにはいかないだろう。

■小牧幸助文学賞投稿作品①■

隠語の指令で潜入確保して今宵も一網打尽。


心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。

せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のテーマ、3ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、そして今回は、小牧幸助文学賞まで手を出す5重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。


うむ。


これで何週間だろうか。まあ、続けられるだけ、続けるさ。


心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。

なんだか、悪ガキだな。


まさに。

そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。

家族からのお題は、バックアップで書いたの?

うむ。少しずつね。でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。

さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「一網打尽」約410字を、どうぞ。

☆         ☆         ☆

紅葉鳥とは、鹿の隠語だ。

今回のミッションは、賭場への潜入である。ガサ入れというよりも、悪の枢軸組織の幹部を一網打尽にするのが目的だ。

手札が配られ、まわりをチラリと見回す。幹部を3人見極めた。

「四光に、猪鹿蝶」

長老が言う。

勝った。配当金の金塊、小判が出てきた。傍らの部下のひとりが確かめる。緩く噛むのだ。純金は柔らかく重くずっしりとしている。

「確かに」

バン、と閃光弾が弾け、気づくと3人とも涼に確保されていた。

捜査員達が一気に雪崩れ込んだ。万事休すだ。

長老は目を瞑りゆっくり天を仰いで、ようやくのことで立ち上がろうとした。両脇を捜査員が抱えようとしたが静かに制した。

闇の世界で身体を張ってきた意地なのだろう。

涼は傍らにあった杖を手渡すと長老はニコリと笑い、杖で奥のキッチンの炊飯器を指して言った。

「はやさつまの銀シャリは絶品なんだが…」

護送車を後ろから見送りつつ涼は指令のメモを見返した。紅葉鳥は消え、また、白紙に戻った。


☆         ☆         ☆


■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。

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