まがった好きなところ【ショートショートnote_57/創作】
家内が私を追求するので、仕方なく、日曜日の夜に投稿するための、ショートショートの創作活動を、細々としている。
ショートショートノートカードゲームを使い、お題を家族に出してもらう。それをテーマに410字以内で、書く。
今回は、長男に、予めスマホのスロットアプリで選択していた以下の5枚から、お題を設定してもらった。
この、お題をお願いするコメントは、長男と家内の、グループLINEに入れる。わざわざ、長男宛だと書いているのだが、家内は、かなりの高確率で、家内の考えたお題を勝手に入れてくる。
家内宛は、家内ひとりに別に入れているので、まともにコメントを読んでくれていたら、そういう間違いは起こりようが無いのだが、まあ、家内も忙しいのである。
今回も、そうだった。案の定、家内が、お題を入れてきたのだ。通常は、そのお題はスルーしてしまうのだが、「まがった」で、そもそも私が長男のお題を見間違えて、別のお題で書いてしまったりしたこともあり、今回は、「まがった」シリーズということで、家内のお題を生かして、書いてみようかと思う。そしてこれが、「まがった」シリーズの、恐らくは、最終話である。
それでは、本編にまいりましょう。
家内のお題から。
本編、「まがったスキなところ」、約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
香の次男の聖は、活発で素直で真っ直ぐな子だった。幼稚園に上がるころ、近所のサッカークラブに入った。
怒声を浴びせられた小学校時代。褒めて育てられた中学時代。規律と礼儀を身につけ、厳しさを経験した高校時代も最後の年。将来の進路を迷ったまま迎えたインターハイの3回戦。アディショナルタイムで逆転負けを喫した。
試合の直後、グラウンドを後にしようとしていた香の元に、聖が駆け寄り、こう、言った。
「今までありがとうございました!引き続きサッカーを続けさせてください!」
聖は大学で飛躍的に成長し。
プロになり、遅咲きだったが代表に招集され、ワールドカップのピッチに立った。
初戦、聖の鮮烈な代表初ゴールが決まり、勝利。
香は、メールを入れた。
「あの、バナナシュート。真っ直ぐな聖の、唯一、まがった好きなところよ。」
聖は静かに笑って呟いた。
「昭和かよ。無回転のブレ球なんだけどな。」
その年、1人のレフティーが、世界を撃破して、歴史が変わった。
☆ ☆ ☆
このショートショートは、この、千世さんの記事にインスパイアされて書きました。拙作ではありますが、千世さんと、心熱い次男さんに捧げます。
次男さんとは何の面識もないですが、もしもお会いすることがあったらハグしたいほど、立派な、尊敬する、最高の、親孝行な青年です。