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ショートショート_初日の出

最後の日というと、どうしても、今際の際いまわのきわのような感じがするのだが、それにはまだ早いと思いたい。年末、大晦日の昼下がり。外は朝の雨はあがり、晴れ渡っている。今年もいろいろあった。来年も、恐らくいろいろあるだろう。だが、できれば穏やかな1年になってほしい。世界中の、すべての人々にとって。今宵の月に、祈ろう。

そんな日曜日に、またもや、荒技をやってしまった。


さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。

そして、今回のお題は、「最後の日」から始まる、小説、詩歌、エッセイということで。


そして、たらはかにさんからのお題は…。

表のお題が表のお題が【夜光おみくじ】、そして、裏のお題が【逆光のみクジラ】と発表された。


お2人の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。
それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。毎週、励みになる。

また、今回は、el faroさんの、シロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を述べてみる。

いい作品だ。
もはや時代も変わり、ファーストペンギンは必要ではないのだろうか。私は、ファーストペンギンのような心持ちを持って、誰もやらないことに手を上げて挑みつつ、35年間以上、会社員としてやってきた。だが、役員の言葉が、深く胸に沈み込んだ。
群れの安全は、しかと見極めて行動するセカンドペンギンのおかげで成り立つことも分かっている。十分に。しかし、ファーストペンギンであり続けたい。そういう気概で、来年の定年後の仕事を、模索していきたいと改めて思い至った。年の瀬に、なんだか勇気の出る作品に出会った。勝手に勇気にしてしまっているところが、実に、悪ガキの私らしいのだが。


心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。

せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のテーマ、3ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、4重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。


うむ。


これで何週間だろうか。まあ、続けられるだけ、続けるさ。



心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。

なんだか、悪ガキだな。


まあな。

そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。

家族からのお題は、バックアップで書いたの?

うむ。少しずつね。でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。

さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「初日の出」約410字を、どうぞ。

☆         ☆         ☆

最後の日、表向きは仕事納めも終わった大晦日の昼下がり。スマホがミッションを告げた。

涼はポーカーフェイスのかわりに、ニヤリと笑った。


高幡不動が今回の捕りもの舞台だ。

除夜の鐘が鳴った。

人々は一斉にお賽銭を投げ、祈り、お御籤を引いていく。


ボンヤリ光る紙を眺める人々。一昔前は、これを夜光塗料と言ったか。

すぐさま異変が起こる。


人々は催眠状態となり、悪の枢軸の与えたミッションに引き込まれていこうとしていた。


涼はすかさず、逆催眠照明弾を上げる。

ボムンッ!


上がる花火。人々は、ハッと正気に戻る。お御籤の妖しい光は失せ消えた。

境内から人影が数人、走り去る。なりすましの工作員だ。



カーチェイスが始まった。渋滞気味の高速を追い、最後は九十九里浜まで追いかけ、すんでのところで全員無事に確保。


超巨大な鯨の影が、沖に浮かんでいた。

敵の本部だ。


胸鰭むなびれで海面をひとつ叩き、朝日に輝く穏やかな水平線に消えた。

「ジュゼッペ爺さんかよ」


涼は、独り言ちた。


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