まがったごっこ【ショートショートnote_56/創作】
家内が私を追求するので、仕方なく、日曜日の夜に投稿するための、ショートショートの創作活動を、細々としている。
ショートショートノートカードゲームを使い、お題を家族に出してもらう。それをテーマに410字以内で、書く。
今回は、長男に、予めスマホのスロットアプリで選択していた以下の5枚から、お題を設定してもらった。
長男の、正しいお題は、「まがったごっこ」だったが、どういうわけか、私が見間違えて。「まがっただっこ」として、書いてしまったのだ。
今日は、そのリベンジを、書く。
それでは、本編にまいりましょう。
長男の、正しいお題から。
本編、「まがったごっこ」、約410字を、どうぞ。
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柾は下町の老舗の材木屋に生まれた。活発な子で。手先も器用で、木材で色んなものを創り、遊ぶのが好きだった。
運動神経も抜群で。特に、徒競走と相撲と野球に関しては、幼い時分から負け知らずだった。
いつしか柾は、角材から立方体の木片を切り出し、それを壁にあるロープ通しのリングに入れて遊びだした。
リングは直径7㎝ほど。大人の腰あたりの高さで。
15mほどの距離から、只管そのリングのど真ん中を狙って投げていた。手に馴染んで来ると、いろいろに軌道を変化させてリングに入れ込む練習を積むようになった。
柾はこれを、「まがったごっこ」と名付けて、来る日も来る日も、無心に投げ続けた。
リトルリーグで全国制覇をして。強豪校に呼ばれて甲子園で真紅の旗を掲げた。神宮では最多勝伝説を創り、メジャーリーグでサイ・ヤング賞に3度輝いた。
柾の引退セレモニーで、老いた父はスタンドから観ながら、柾目ってのは、まっすぐな木目のことなんだがと笑って頭を掻いた。
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