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kinarichanda
黒い笛【ショートショートnote_17/創作】
家内、いや、女王陛下の追求が厳しくて。できる限り、「ショートショートnoteカードゲーム」を使って、ショートショートを書くことを、少しずつ始めている。
お題は、以下の3つが残っている。このお題で、日曜日、順次、書けるときに、書いていこうと思っている。
ルーレットを回そう。
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![](https://assets.st-note.com/img/1641821177819-I4YIMUje0q.jpg?width=1200)
では、本編、「黒い笛」410文字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
正康の家には、代々家宝として伝わる、黒い笛がある。
言い伝えによると、これを吹くと、黒き魔神が現れ、敵を殲滅するという。ただし、絶体絶命のピンチに陥らない限りは、決して、使うことは許されないと聞いていた。
両親共に亡くなり、田舎に帰るか、このままいるか、悩んでいるところへ、家を安価に、簡単に引き取るという話が持ち上がった。
いろいろ悩んだ末、託すことにしようかと思った。
契約の日。何の気なしに、笛を手に取った。そして、思った。
もう、処分するかも知れない。一度、吹いてみようか。そして、吹いてみた。
魔神は、現れなかった。
次の日。ニュースで、業者が詐欺容疑で逮捕されたと流れた。
正康は、ほどなく田舎に帰り。兄弟も帰ってきて。賑やかになり、子供たちは、自然の中で、のんびり暮らすようになった。
黒い笛は、神棚の奥に置いてある。魔神は出てこなかったが、家族の笑顔を守る、家宝の笛であった。